思いやり・・・そして別れ | 国際結婚 こんなところまで来てしまった・・・

国際結婚 こんなところまで来てしまった・・・

これは、私の過去の記録(日記)です。
イギリス人の夫と国際結婚 
中東で海外生活を経て
やっと日本に戻ってきた。。
海外でも日本でも何故かいつも微妙に波乱万丈をしている
2児の母です。

マージーの実際の生活の話を聞いて
何故か吹っ切れた私・・・。
何が吹っ切れたのか・・・
今でもわからない。
だけど、気持ちの中のもやが
ぱあーっと晴れた。
マージーも自分の話を聞いてもらって
嬉しそう。

そして、あることを計画する。

翌日マージー最後の日。
この日の夜中にマージーは出発する。

荷造りはもう終わっていた。
私は何度も旅行&引っ越しをしているので
荷造りは得意。
あんまり自慢にならない特技。
マージーが帰って荷解きしやすいように
一緒に説明しながら詰ていった。
マージーの思うとおりに
荷造りが終わって
満足そう。

そしてこの最後の日の朝
私は子供達を学校に送って
少し遅れて帰宅する。

「どこ行ってたの?」
いつものように怒るマージー。
予想通りの言葉に
いつもはカチンとくるのだが
今回は笑えた。
もう明日から
これを言われないと思うと
何だか許せてしまう。

「遅れたのには理由があって・・・」
と私は袋の中身を見せる。
それは・・・
アラブのスイーツ。

アラブのスイーツはやたらめったら甘い。
砂糖甘い。
ケーキに更にシロップがギトギトにかかっていたり
デーツがふんだんに使われていたり、
パイ生地が使われていたり
ナッツがいっぱい使われていたり。
つまり
かなりの高カロリー・・・

今回その中でも一番のお気に入り
ナッツをふんだんに使った
スウィーツを買って来た。
このスウィーツは義父母のお気に入り。
普通のアラブのお菓子は
少し、癖のあるのだが、
このお菓子は癖がなく
かなり美味しい。
アラブのお菓子の中で
初めて素直に美味しいと思ったお菓子。
最近私がハマって食べているお菓子なのだ。

そのお菓子を買うために
朝一から店に並んだのだ。
なぜ並ぶかって?
それは売り切れる可能性があるからなのだ。

地元の人間は美味しいのを知っているようで・・・
この店のそのお菓子は、よく売り切れる。
実は私、
何度か売り切れに
遭遇した経験があるのだ。
だからこそ、朝から並んだ。
今日は絶対に欲しかった。

何のために欲しかったかというと・・・
マージーにお土産を持たせるため。
もちろん、私から。
誰にか・・・って
それは義父母。
今回は不本意だけど
彼らがこのお菓子を好きなのを知っていて
持たせないわけにはいかない。
それに、マージーのヘルパーさん3人
隣人の人
計5人分・・・
どうしても必要だった。
だから並んだ。

並んだ甲斐あって
全部買えた。
いや、ほぼ買い占めた!(笑)
こういう人(私のような奴)が居るから
売り切れる!!

さて、その戦利品を見せると・・・
マージー不可解な顔。
「これ何?」と・・・
すると私は
「これは私から
マージーのヘルパーさん全員と
お隣さん、
それから義父母への
お土産です。」
という。

その言葉に
マージーの顔は
パアーッと明るくなる。
「ありがとう。
こんな風に思ってくれるの嬉しいわ。」
と半泣き状態。
本当に喜んでくれた様子。

「美味しいの?」と聞いてくるマージー
見たことないので
不思議なのだろう。
味が想像できなくて・・・。
「ここのは美味しくて
有名なんです。
義父母も大好きなんですよ!
売れきれる前に
買ってきました!」と私。
家用に買って来た
同じお菓子を
試食させてみたが・・・
歯のないマージーには
ナッツが刺さって
いたかった様子。
結局食べれずに吐き出した。
「心配しないで、味は保証する」と私。

実際、後にマージーが帰り着いて
急いで電話して来た。
お隣さんもヘルパーさんも
美味しすぎて数分で完食したと・・・。
結構な量をあげていたのに!
「こんなに美味しいもの初めてだわ!」
と感動されて、マージー鼻高々だったそうな・・・。

この時はまだ
そんなに喜んでもらえることは
思いもしなかったが
完食してもらえる自信は多少あった。

マージーのお隣さんや
ヘルパーさん達へ
お土産を持たせた理由は・・・
日頃迷惑かけっぱなしのマージーを
文句言わずに面倒見てくださっているので
そのことに対する申し訳なさと
これからもどうかよろしくお願いしますという
日本人的発想から・・・。

もう一つ
同じ境遇を味わった私からの
同士としての
気遣い・・・
先日話を聞き終わって
彼女達のために何かをしたいと
思いついたのが
これという訳だ。

マージーはいつも通り
朝食をとり
体を拭き
身支度をし
日光浴をし
昼寝をする。
その間に掃除
そして子供達を迎えに行き
帰って来て昼食の準備。
昼食後
マージーと子供達はいつものように遊ぶ。
沢山写真を撮って
マージーに持たせる。
そうこうしているうちに・・・
夫帰宅。
夫にマージーの世話バトンタッチで
今度は私が夕食準備。

いつもと同じ順序ですすんでいく。

そして帰る時間が近づいた頃
マージーはふと思った。
もうちょっと
ソフトデーツを買っていれば良かったと・・・。
そしてクヨクヨ考えだす。
あと3袋は欲しいな・・・と

出発前3時間。
スーパーが閉まる直前に
私は猛ダッシュで
スーパーに駆け込み
ソフトデーツを全部買い占めた。(迷惑な奴!)
言われていた数は3袋
買った数は10袋!

帰って来た私に
マージーは
「そんなにいらないのに!!」と文句炸裂!
それに私は
「私からの餞別ですので
いらなかったら、
誰かにあげてください。
賞味期限長いから
気長に楽しんでもいいじゃないですか!!」と
無理矢理バックに詰め込んだ。
ファーストクラスなんで積め放題!

そうこうしているうちに
出発の時間!
家を出ようとしたその時
マージーが私に封筒を渡す。
「?」と私
すると
「少ないけど受け取って。
貴方達二人本当に良くやったわ。
年寄りの私を
こんなに長い間世話するなんて
そんなにできることじゃない。
ありがとうね。
楽しかったわ。」と言うマージー。

その袋の中には
現金が・・・。
そんなに大きな額ではないが
小さな額でもない。
マージーからしたら大金。
今回の滞在でマージーが
なるべくお金を使わないようにしていたのは
私たちに少しでも現金を残していきたかったから
その思いに
私は出発前に気付いた。

マージーのために使った金額は
もらった金額よりは多かったが
そんなことはどうでもよく
マージーのその気持ちが嬉しかった。

「特にヒロ、貴方がこのお金を使う権利があるからね!」
そう言い私の手を握りしめる。
そのマージーに抱きつき
「ありがとう」
という私。
何だか心がくすぐったい。

この後
家を出発2時間半前に出る。
空港ではラウンジが使える待遇のマージー。
空港内の職員がマージーの世話をしてくれるそうな!

空港に付くと
マージーは色々と心配をする。
係の人に
あれはどうか
これはどうかと
色々チェックしている
全部大丈夫ですと言い切る
スタッフにやっと安心したマージー。

マージー専属の世話係が到着!
しかし問題が・・・
その人・・・
男の人。
マージーは女性が良かった。
トイレの介助を頼めるので。
しかし、ここには女性の世話係はいないそうな・・

マージー渋々
彼で我慢する。
全然歓迎されてないこの可哀想な
係の男性は
マージーにああじゃない
こうじゃないと駄目だしされながら
ゲートをくぐった。
さよならを言う時間は
たったの2分。
不本意そうな顔をしたままのマージーが
連れて行かれた感じ・・・、

あっさり連れて行ってくれて・・・
よかったような
わるかったような・・・
嵐のように現れて
嵐のように去っていったマージー・・・

マージーがゲートから見えなくなると
二人で



やっと終わった~!

と、叫び
手を取り合って喜ぶ。
肩の力がどっと抜け落ちるような
そんな感じ。

夫が「やったね!やり遂げたね!」と
私の肩を抱く。
その肩に置かれた手を払いのけ
「やったね、じゃない!」
と、怒る私。

この後帰りの車で
みっちり説教された夫。
今回のことの発端、
物事の判断は勝手にしない
特に誰かを泊まらせる場合は
私とじっくり話し合ってから
決めること
勝手に返事をしない
軽く物事は考えないなど
などなど・・・

この間
夫ひたすら
謝り続けていた。


次の日
家族全員かなり疲れていたのだろう。
昼過ぎまで
誰一人として
目が覚めることはなかったのだった・・・。

今回のマージーの滞在
私は多くのことを学んだ。
特に自分の限界、
嫌だと言うことの重要性。

でも一番の収穫は・・・
マージーを生きて送り返せたこと。
何事もあったけど
無事に送り返せたことは
私たちの自信につながった。

もちろん、来年は絶対に



マージーは
来らせない
けどね・・・





※次回から夫の「オトシマエ」始まります。