さて、話の続きです。
レストランで散々やらかしたマージー。
マージー96歳。
記憶力はいいものの、やはり年なので
多少のボケがあるのはしかたない。
しかし、灰汁の強いマージーの性格とこの微妙なボケは
これから私達を苦しめていくになるのだ。
レストランで食事を終えた私達。
会計はマージーが払うという・・・。
有難いが、大丈夫なのだろうか・・・と不安になる私。
この後
本来の目的、スーパーへと行く。
しかし・・・ここで問題発生。
マージートイレに行きたくなった・・・。
ご存知のとおり、年よりはトイレに行く間隔が狭い。
マージーの場合、それプラス薬の副作用で更に間隔が短く
約1時間に1回か2回はトイレに行く必要があるのだ。
当然そんなことは計算済みだった私は
このスーパーを選んだ。
実はバーレーン、身体障害者用のトイレを
併設しているところは少ない。
だから、近所のスーパーに行かずに
わざわざ大型ショッピングモールにやってきたのだ。
だから、ここには
綺麗な身体障害者用のトイレがあるというわけだ。
しかもスーパーの入り口付近。
早速マージーの車椅子を押してトイレへ。
身体障害者用のトイレを使うのが始めての私。
右も左もわからない私は
マージをトイレに連れて行きさえすれば
後はマージーが自分でやるものと思い込んでいた。
しかし・・・実際は違った。
トイレに入ると身体障害者用のバーを
下ろすように言われる。
そのバーには気づいたので
早速下ろす。
今度は車椅子をトイレに近づけるように
いわれる。
この間の支持は何故かマージー怒っている。
なので、強い口調。
まるで奴隷にでもなった気分。
近いだの遠いだの色々言われ
ちょっとむっとしながらも一生懸命に
マージーの要望どおりに・・・。
やっとの思いでマージーはトイレにたどり着く
そしてマージーがパンツを下ろし始めたころ
私にティッシュの用意をさせる。
細かい指示で
ティッシュは二回巻きで手のひらサイズに折りたたむ。
はっきり言って面倒くさい。
そして私が用意したティッシュを
車椅子上におき
準備が整うと
外に出るように言われる。
どうも用を足すときは
さすがに外にいて欲しいらしい。
まあ、見たくないのでそれはいいのだが・・・
しかし・・・問題がある。
マージー・・・トイレをするときは
死にそうな声を出すのだ。
「うー、ああああ・・・」と
それはそれはビックリするような声。
トイレは危険な場所。
特にここ中東は。
何故か。それは床がぬれているからだ。
中東はビデを使う。
ホースにシャワーヘッドがついているようなもので
用を足した後
陰部を洗うのだ。
当然水がトイレの外に漏れる。
だから床は常に濡れていて汚い。
だから、マージーが立ち上がったと同時に
転ぶのではないかと心配で心配で。
一応、私はマージーのために
備え付けのティッシュで床をある程度拭いたものの
完璧ではないので拭き残しがあってもおかしくない。
そんなことを心配していると
トイレの中からガタっという
大きな音がした。
「まずい・・・」そう思った私は
呼ばれてもないのに
トイレのドアを開ける。
そして・・・・
衝撃的なものを目の当たりにするのである。
マージー・・・
トイレの便座に座っておらず。。。
立ったまま用を足している。
少し前かがみで角度があるので
はみ出してはいないが・・・
つまり、女バージョンの立ちションなのだ・・・
あまりの衝撃に
凝視していまう私。
それに気づいたマージーは
「まだ入ってこないで」と怒っている。
急いでドアを閉める私。
これが後に大きな惨劇を生み出すとも知らずに
この時は見なかったことにしようと思っただけだった。
トイレ所要時間25分。
かなり待たされた。
そして怒鳴り声が聞こえる。
入って来いと。
細かい指示の元
車椅子を移動させ、座りやすい状態にする。
手を洗うように言うが
トイレで体力を消耗してきついマージーは
それどころではない様子。
手は後で洗うという。。。
これもまた、後に問題を引き起こす。
全てがわからないので
全てをマージーが言うままにさせた私。
今思えばここからすでに間違っていたのに・・・。
スーパーの前で待っていた子供たちと夫。
子供たちもまた私を待っていた。
トイレに行きたいのだそう。
今度は子供たちをトイレに連れて行く。
もちろん、私が必要なときは大きいほう。
子供の世話をしながら、
子供はなんて楽なんだ・・・。
なんと世話がかからない・・・。
と実感した。
私は大きな勘違いをしていた。
今ならそう思える。
子供達にも手がかかるのだから、
マージーが一人増えたところで
あまり変わらない。
一人大きな子供が増えるだけ・・・
だと思っていた。
今となってはとんでもない勘違いであったと思う。
正直に、マージーの世話は
子供2人の世話より大変だった。
子供はマージーより要求が小さい。
それに、私のやり方で世話ができる。
何より、自分の子供なので
愛してるという根底があり、
どんな状態でも我慢できる。
しかし、マージーの要求は果てしなく大きく
細かすぎる。
私のやり方ではなく
マージーのやり方で
世話する必要があるのだ。
また、怒鳴られることが多いので
孫の嫁の私にはそれなりにショック。
マージと私は会ったことある時間は1ヶ月もない。
一緒にいて話した時間はたぶん1時間もなかった。
夫の祖母とはいえ
ほぼ知らない人状態だったマージー。
愛なんてないし、近所のおばちゃんより面識が少ない。
そんな人に、いつもののしられるように指示されて
動かされる自分・・・。
難しすぎた。
割り切りきれない自分。
家族は家族でも
私のように孫の嫁という
かなり距離が遠いからなのか
夫が割り切れても
私は割り切って無視できないのだ。
どこまで聞いてやるべきなのか
その線引きさえもできない。
ただただ、夫の祖母なのだから
気持ちよく迎えてあげないと・・・
という気持ちのほうが先にたち・・・
でもこっち(私)は
家族扱いされていない現状なわけで。。。
その気持ちのせいで
自分が押しつぶされそうになる。
正直に・・・きつい・・・
この状態であと3週間もいるのかと思うと・・・
気が遠くなったのを覚えている。
子供のトイレもすみ
やっとスーパーへ。
ここまでのロス時間は
30分であった。
つづく