私の家の近くにイギリス人の男が住んでいた。
彼は家族を故郷に残し、サウジで働いている。
彼は夫と同じ職場である。
夫は最近カレッジにやってきたこの男の世話役であった。
面倒見のよい夫はいつも色々と教えてきたが
夫はこの男の物の考え方に問題があると
プライベートでは疎遠がちであった。
バーレーンにこの男が来ると決める前に
夫はキチンと通勤の時間のことや朝早いことなど
色々この国で必要なことは教えていたようだった。
しかし、彼の問題は、あまり物事を深く考えないこと。
そして、自分の常識が(根拠なく)世の中ですべて通用すると思っている
まさに、夫の嫌いなタイプなのである。
しかし、夫は文句も言わず、ずっと世話をし続けていた。
そしてこの男は私たちの家の近くのマンションに引っ越してきた。
彼のマンションの契約は1年間。
1年間の契約を守らないと、罰金を払うことになる。
と言う契約・・・
ここバーレーンではごく普通の契約内容。
しかし、夫はこの契約内容が嫌いで、マンションの契約の際、
オーナーと話し合いの元、この「1年間の契約」をはずしてもらった。
理由は、何が起こるかわからないここ中東で
契約を破ることになる可能性があるからである。
つまり、一年たたずに引っ越す可能性があるからだ。
夫は契約書を隅から隅まで読むタイプ。
後で不利な状態を避けたいからである。
特にここは中東。
とても特殊なルールがあることを夫は知っていたのだ。
さて、このあまり人の話は聞かないイギリス人の男は
不注意な男。
そして深く物事を考えない。
入居して、1ヶ月後
朝が早いことに体がなれる前に、
我慢できずにサウジに戻りたいと言い出した。
夫の説得もむなしく、彼はサウジに戻る決心をした。
と言うことは入居の1年契約を破ることになり、
当然ペナルティーの金額2か月分の家賃20万円を支払わなければならない。
彼はその契約書にサインしてしまっているのでそういうことになる。
普通、契約を破ると言うことはその金額を払うことも含めて
考えて決断する・・・
しかし、この男そんなことは考えていなかった。
20万円を踏み倒し、サウジへ戻ったのである。
しかし、この家主はこの男に何度も電話をし、
契約違反金の支払いを求めた。
だが、支払う気のないこの男は、
このマンションの鍵を夫に渡し、
夫に家主に返すように頼んだ。
つまり、家主に会わず夫に鍵を返させることにより
逃げ切ろうとしたのだ。
そんなことに夫を巻き込んだ時点で私の怒りは頂点に達した。
普通、そんな自分の不始末を他人に頼むなんてことしない。
このことからもこの男普通ではない。
夫はこの家主に鍵を返すとき
「彼との間に何があったかは知りませんが、大丈夫でしょうか?」
と聞いた。
するとこの家主は笑顔で
「気にすることはありません。私が何とかしますので。」
と言ったと言う。
夫はその笑顔を見て少し安心したそうだ。
その後も何度か家主から催促の電話があったこの男。
うっとうしくなったのか、サウジで電話番号を変えてしまった。
家主はこの男の住んでいる場所は知らない。
つまり、この男はこれで逃げ切れると思ったのだ。
しかし、この家主はなんと、その新しく知るはずのない電話番号に電話してきた。
普通、ここで気づく。
この人が普通の家主ではないことを・・・
しかし、この男の頭の回転は悪かった。
こともあろうに、この家主に
「なんで僕の番号を知ってるのだ?プライバシーの侵害だ!
弁護士を雇って訴えてやる。」と逆に家主を脅した。
まあ、よくも自分のことを棚にあげてこんなことが言えたもんだが・・・
辛抱強く、この男が改心して金を払うように催促の電話をしていた家主を
逆に脅すという、まさに勘違いの極みである。
夫が、「ここはヨーロッパじゃないんだから、
そんなこと言っても通じないよ。」と笑いながら言ったそうだ。
それから沈黙が1ヶ月ほど続いた・・・
この男も家主との問題は終わったと勝手に思っていた。
そして昨日、夫の学校はやっと休みに入った。
この時期、みんなはバーレーン空港からバケーションに出かける。
理由はバーレーン空港は国際空港で
フライトの本数も多いからだ。
この男も、この日家族に会いに
飛行機に乗るためバーレーンに来ることになっていた。
そして、事件が起きた。
この男が、サウジからコーズウェイという大きな橋を通ってバーレーンに入った。
すると、バーレーンの入国手続きでこの男は引っかかる。
入国管理官はこの男に入国管理局内にある警察に行くよう指示を出す。
何のことだかわけがわからず、この男は警察署へ行く・・・
そこで衝撃の事実を告げられるのである。
つづく

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