『ユートピア』 湊かなえ

 

 怖い。女って怖いわ~タラー大人も子どもも怖い。いろいろあったけれど、読み終えた後の想いはこれ。憎み合っているわけではないけれど、心の中が限りなく黒に近いグレーの女たち。こんな人になりたくないガーンどうすればいいのやら。誰にも接しないで一人で生きていくしかないのでしょうか。

 

 閉塞感のある田舎町が舞台となっていて、ここでもう何も起こっていなくても想像だけで共感してしまいます。そりゃぁ女同士、うまくいかないでしょうニヤリ何かと張り合ってくるし、知りたくないこともいちいち話してくるし、ちょっと話がことがすぐに広まっちゃうし… と、私の思い込みもかなり入っていますが、すみれ、光稀、菜々子ははじめはまぁまぁうまくいっていたのに、少しずつ歯車が狂い始めて表向きは穏やかにしていますが心の中はひがみやら妬みやら当てこすりやらでいっぱいに。それぞれ魅力のある人たちなのに他人を意識しすぎて自分を歪めてしまっているような気がします。

 

 やはり「クララの翼」にような福祉団体を設立すると、ことが大きくなってしまってうまくいかなくなってしまうのでしょうか。しかもお金やらハンディのある人が関わってくると、善意が偽善ととらえられてしまって、一度狂った歯車はもう止められないもやもや

 

 さらには純粋無垢な感じを出していた小学生の彩也子と久美香もなかなか大物で、嘘をついたり放火までしたりともう女の闇を見せつけています。

 

 バラバラになったすみれたちが、自分たちの魅力を十分に発揮しているといいなぁ。それにしてもいちばん真っ当だと思ったのは小梅だけれど、彼女も実は黒いのでしょうか… ついつい疑ってしまいます。これもまた、イヤミス効果なのかもしれません。