5月に続き、6月も9冊と絶不調でした。
◆777 トリプルセブン(伊坂 幸太郎)
伊坂さんの殺し屋シリーズ第4弾、あの「マリアビートル」の15年後の話です。
スイスイ人とか、伊坂さんなりの人生観?は織り込まれているのですが、私は痛快なサスペンス・コメディとして楽しく読ませていただきました。天道虫さん、相変わらずで、いいですねー。
◆厳島(武内 涼)
正当派の歴史小説。主人公は遅咲きの大大名、毛利元就。その乾坤一擲の大勝負「厳島の戦い」を、主に敗者側の陶晴賢とその重臣の視点で描いた小説。
戦国時代の歴史小説としてはマイナーなネタ、信長、秀吉、家康を描いた小説はたくさんあるので、こういうのを読みたかった。
◆リカバリー・カバヒコ (青山美智子)
本屋大賞ノミネートのの常連になった感のある青山さん、今年のも、さらっと読める良いお話でした。公園に置かれた古いカバの遊具と公園のそばのクリーニング屋さんに纏わる、そういうことあるあると思える短編連作でした。
◆この夏の星を見る(辻村 深月)
コロナ禍、すごい昔のことのように感じてたけど、まだたった数年なんですね。仕事もまあ大変だったけど、学校は、モンスターペアレントを含むいろんな親がいるし、文科省の指示も現場任せの部分が多く、上が日和見の学校の生徒さんたち、たった一度の中学、高校生活が滅茶苦茶になって、本当にお気の毒です。そんな環境下でも、やれることを、精一杯前向きにやった渋谷、茨城、長崎の生徒さんたちの感動の物語。若いっていいですなー。
◆まいまいつぶろ(村木 嵐)
初読みの作家さんの直木賞候補作。享保の改革の徳川吉宗や悪名高い田沼意次と比べ、歴史の教科書では影が薄い第九代将軍、徳川家重とその従者・忠光のお話。
口がきけなくとも将軍が務まるのは徳川の世が盤石にあった証と思っていたが、これは歴史小説というよりも人情ものの時代小説。楽しく読んだけど、後半はちょっと冗長かなと思ってしまいました。
◆りゅうおうのおしごと!19 (白鳥士郎)
いよいよあと1冊か。著者が考えたラスト、どんなんだろうなーと、今からワクワクです。アニメは6巻分くらいで終わっちゃったけど、ここまで続けてくれてありがとうございました。この作品、コメディ部分と熱血部分の割合が絶妙なんですよね。
◆彼女。 百合小説アンソロジー (相沢 沙呼,青崎 有吾,乾 くるみ,織守 きょうや,斜線堂 有紀,武田 綾乃,円居挽)
全編書下ろしということだったが、青崎さんの「恋澤姉妹」は既読、どこで読んだのかな。
百合がテーマということで手に取った。織森きょうやさん、武田綾乃さん、乾くるみさん、斜線堂有紀さんのが面白かった。
◆レモンと殺人鬼 (くわがき あゆ)
昨年のこのミス大賞の文庫グランプリ受賞作。後半にストーリーが二転どころか三転、四転、五転するわけだが、それを面白いと思えるかどうかで評価が分かれる作品と思う。
◆とける、とろける (唯川 恵)
唯川恵さんのかなり直球な官能短編集。自分は男性なので女性の官能については実感としてわからないことも多い。どんな風に気持ちいいのなんてなかなか女性に聞けないし。
この本が取材によるものか、それとも女性の著者の実体験に基づいたものなのか、わからないなりにリアリティは感じた。ペニスとヴァギナが寸分の隙間もなくぴたりと収まる男女の話が複数の作品に登場するが、残念ながら自分はそんな相手には未だ出会っておりません。(∀`*ゞ)テヘッ