「天気の子」以来、3年ぶりの新海誠監督作品、観てきました。
同時並行で原作本も読みました。
ヒロインは九州・宮崎の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女、岩戸鈴芽。
冒頭の彼女が良く見る夢のシーンで、12年前、震災ボランティアで行った港町の情景が思い出されました。ああ、これは、東日本大震災の喪失と再生の物語なんだ。
ある日の登校中、「扉を探してるんだ」という美しい青年とすれ違った鈴芽は、クラスメートに顔が赤いと指摘され、気になって仕方がない彼を追いかける。そして、子供用の椅子に姿を変えられてしまった彼をすることになる。
「死ぬのは怖くない。草太さんのいない世界が怖い」
椅子になった彼をもとの姿に戻すために危険を顧みずに奔走する鈴芽、これは、内面に激しい思いを抱えた彼女の恋愛と成長の物語でもあります。
ヒロインの岩戸鈴芽という名前、天岩戸、アメノウズメノミコトを連想させます。宗像草太の苗字も、宗像大社とか、神様っぽい。大地震をもたらす存在もミミズとナマズの違いはあるけど、それを封じる要石とか、常世に続く扉を閉めて災いを鎮めるとか、日本神話っぽい話はファンタジーの世界観によくマッチします。
草太をもとの姿に戻すために子猫のダイジンを追いかけ、後ろ戸を閉めながら宮崎から愛媛、神戸、東京へと椅子になった草太と冒険の旅を続ける鈴芽。東京で草太が地震を鎮める要石になると、パートナーは草太の友人と叔母に代わって旅は続く。息もつかせぬ冒険活劇ロードムービー。
実に盛りだくさんのアニメで、映像も美しくて、新海さんの企画書、プロットまでいただけて、とても楽しめました。