久々の金原ひとみさん、久々どころかあの芥川賞を取った「蛇にピアス」以来の2冊目かも。
ヒロインの由嘉里は焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子、27歳、処女、恋愛経験なし。自己評価が低く、コミュ障気味。
そんな彼女が義理で出席した人生二度目の合コン帰りに酔い潰れてゲロをはいていたところを、美しいキャバ嬢・ライに拾われる。
「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。助けられたお礼にとゴミ屋敷と化したライのマンションを掃除した由嘉里は、そのまま彼女の部屋に居つき、死にたいキャバ嬢と焼肉腐女子の奇妙な共同生活が始まる。
ライのつながりで、アサヒ、ユキ、オシンといった個性的かつアウトローな歌舞伎町の面々と親しくなるにつれ、由嘉里は彼らに触発され、軽々と今までの自分の殻を破って羽ばたいていく、奇想天外、型破りなゆかりんの成長物語。
ユニークなキャラ設定、由嘉里の語り口やちりばめられた言葉の使い方に金原さんの若さ、センスを感じます。
納得の今年度柴田錬三郎賞受賞作です。