就活に失敗、自暴自棄になる22歳の光太の前に現れた、関西弁のホスト・雫。就活浪人を決めた光太は、生活費を稼ぐため、雫に誘われるままにホストクラブ「チュベローズ」の一員となる。
人並み外れた磁力を持つ雫、新入りなのに好成績を上げる同僚の亜夢、ホストたちから「パパ」と呼ばれる異形のオーナー・水谷らの中で戸惑う光太に太い客が現れる。光太を不合格にした会社の面接官をしていたアラフォーの女性客・美津子だ。美津子との関係を深めていく光太、しかしやがて悲劇的な結末が訪れる。
と、ここまでが上巻。
「チュベローズで待ってる」なんて謎のタイトルだったけど、何のことは無い、ホストクラブの名前だったのね。
下巻のAGE32、10年後は一転、ホストでバイト話から近未来・お仕事小説に。美津子も所属していた念願の会社に就職、ゲームクリエイターとして活躍する光太、会社の危機も昔の仲間らの協力を得て打開していくわけですが、いろんなことが10年前とつながっていて、、、
10年前の美津子の自殺についても、甥のユースケと真相を解き明かしていきます。まあ、会社でも重用され、そこそこ良い給料をもらっていたはずのアラフォー独身女性は、短期間ホストにはまったくらいで自殺するほど金銭的に追い詰められるはずもないですもんね。
「チュベローズで待ってる」なんて思わせぶりなタイトルなのに意外と普通のエンタメ路線なのかなと思ったら、上巻のAGE22は下巻の前振り、下巻のAGE32は様相一変、しかも中盤以降は次々と伏線を回収しつつ、ここで出てくるのかというタイミングで意外な黒幕が登場、ストーリーは予想の斜め上に展開していきます。
ジェットコースターのような、適度にダークなお話のみならず、で登場するガジェット等小物も魅力的です。そしてラストでいよいよ明らかになる美津子の死の真相、面白くてページを繰る手が止まらず、上下巻それぞれ1日で一気読みしました。
アイドルと侮ってはいけない、今まで読んだ著者の作品で一番面白かった。