サブタイは「江戸・東京の中の小宇宙」。ありがちな街の紹介本なんだけど、変わっているところは著者がイタリア人であること。
ローザ・カーロリさんは1960年生まれのヴェネツィア「カ・フォスカリ」大学教授。でも専門は、日本近現代史、沖縄史、江戸・東京の都市史。外国人らしからぬ日本史の知識に加え、自らが滞在し、歩いて集めた資料が興味深い。
太田道灌が江戸城を開いた十五世紀、江戸はまだ人口数千人の寒村だった。太田道灌といえばあの山吹の歌のエピソードが有名だが、神田川のほとりにひっそりと「山吹の里」伝説の碑が建っている。
神田川の河岸段丘が作る平地と急坂、その当時の早稲田は、川沿いの低地には田んぼが広がり、その両側は緑深い丘だったのだろう。
十六世紀末に徳川家康が江戸に開府、幕府を開いて参勤交代で大名を江戸に住まわせたことから、町は急激に膨張する。当初は田園地帯であった早稲田の地も、明暦の大火後に、尾張徳川藩や肥後細川藩、大名の江戸下屋敷が割り振られ、その姿を変えていく。
明治維新後は、その跡地に山形有朋や大隈重信など元勲が屋敷を構えたり、陸軍の施設になったりと、その姿を変えていく。
新宿区在住の私にとって、この界隈はルーティンのお散歩、ジョギング・コース。歴史も含めて知らないことなんてもうほとんどないと思っていたが、改めてこの本を読み、町を歩いてみると、いろいろな発見があった。感謝!
