一昨年末の「このミス」「本格ミステリ」のランキング1位をダブル受賞した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の待望の続編。
前作は城塚翡翠の存在そのものがミステリーの鍵になっていた。それが、正体が割れてしまった状態でどう続編が書かれるのか時になっていたのだが、なるほど、犯人の視点で倒叙ミステリーとして書けば、ここまで面白い作品になる。
「雲上の晴れ間」はITエンジニア、「泡沫の審判」は小学校教師、そして「信用ならない目撃者」の犯人はそして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。
どれも綿密な犯罪計画により実行された殺人事件で、事故として処理されようとしていた。
だが、これを殺人事件とし、犯人までも看破した城塚翡翠が、犯人の前に登場する。しかし犯人たちのアリバイは鉄壁だ。
死者の声を聴いたり、人のオーラが見えたりする特異体質の美女の登場に、戸惑い、苛立ちながらも、霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてないと確信する犯人たち。ところが、実際は、、、
前作にもまして魅力的なヒロインとロジカルなアリバイ崩しにページを繰る手が止まらない。特に「信用ならない目撃者」で翡翠が犯人に仕掛けた罠には、種明かしをされても理解するのに時間がかかるくらい複雑、綿密で、あっと言わされた。
シリーズ化、期待!