「代償」(伊岡瞬) 達也がいかに破滅するかを楽しみに読んだ、癖になるサスペンスミステリー | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

 

平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?

衝撃と断罪のサスペンスミステリ。(「BOOK」データベースより)

 

長い間積読本となっていたが、もっと早く読めば良かった。

第一部は、両親を失い、胸糞が悪くなるような道子、達也の母子にいじめぬかれる佳輔少年の話。

第二部で、逆境を乗り越え、長じて弁護士となった佳輔の下へ、不幸の手紙再び、断ればいいのに、佳輔は強盗致傷で逮捕されながら無罪を訴える達也の弁護をすることになっってしまう。

絶対悪、手を汚さぬシリアルキラーっぷりはまさにサイコパス。東野圭吾さんの「白夜行」の雪穂はそおの生い立ちから同情の余地がある哀しいサイコパスだが、こちらは同情の余地なしの絶対悪、だけど佳輔に弁護を依頼した理由は、さすがに脅してタダでやらせるだけかと思った。そんな罠までしかけてあるとは。

達也がいかにして破滅するか、ラストを楽しみに読んだのだが、、、もっとページを割いて苦しませて、読者の留飲を下げさせてくれても良かったのでは。

そんな気持ちになるほどハマる、サスペンスミステリーの傑作と思います。