世界一不幸な探偵・ハムラアキラ、若竹七海さんの人気シリーズのTVドラマ化 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

ハムラアキラ

原作は若竹七海さんのシリーズもののミステリーである。初出は1996年の短編「海の底」、以降断続的に以下のとおり刊行されている。

96年「プレゼント」(短編集:葉村晶登場作品は「海の底」「ロバの穴」「あんたのせいよ」「再生」「トラブル・メイカー」)

00年「依頼人は死んだ」(短編集)

01年「悪いうさぎ」(長編)

14年「さよならの手口」(短編集)

16年「静かな炎天」(短編集)

18年「錆びた滑車」(長編)

19年「不穏な眠り」(短編集)

「悪いうさぎ」から「さよならの手口」の間に10年以上のブランクがあるが、この間も葉村は律儀に歳を重ねており、「悪いうさぎ」の時は30歳そこそこだった彼女は、「さよならの手口」以降は40代のおばさんに。なぜか「さよならの手口」以降は結構な人気シリーズとなり、「このミス」の年末ランキングの常連にもなっている。

 

ハムラアキラ

主演はシシドカフカさん(!)なので、年齢設定は前期作品の34歳となっているが、ストーリーは「トラブルメイカー」「悪いうさぎ」の他「静かな炎天」など後期作品からも選ばれた。住まいは前期の大江戸線・中井が最寄り駅の大家がオカマのアパートではなく、後期のミステリー専門書店”MURDER BEAR BOOKSHOP”の2階の「白熊探偵社」に住み込みという設定になっている。(その代わり中村梅雀さん演じる書店長がオカマにされていた。)

背が高すぎる、顔立ちがエキゾチック過ぎる、そもそもシシドカフカさんって女優?とか、いろいろ心配する向きもあったが、ドラマで見慣れるとアウトローっぽさが結構しっくりきて、本を読んでも葉村晶がシシドさんに脳内変換されるようになった。

 

後期作品しか読んでなかったが、ドラマ化を機に「依頼人は死んだ」「悪いうさぎ」の前期作品も読んでみた。

 

悪いうさぎ

「悪いうさぎ」はドラマが先行して、結末が分かってしまった状態での読書となってしまったが、事件の真相はおぞましいというか、現実味が薄いというか、結末は悪党同士の自滅っぽいけど後味は良くない。異常な環境に育ったJKたちの気の毒な生態、でも彼女らの友情がおじさんたちには1周回って爽やか。

肝心の「世界一不幸な探偵」っぷりは映像よりも悲惨でした。