一昨年、衝撃のデビュー作「屍人荘の殺人」で、「このミス」以下ミステリー本ランキングを席巻した著者の、待望のシリーズ第二作。
前回に引き続き、ワトソン役の大学1年生・葉村譲が語り部で、ミステリー研究会の1年先輩の剣崎比留子がホームズ役。前作で正体が分からぬまま終わってしまった「班目機関」の情報を求めて、二人が人里離れた施設に孤独な預言者の老女を訪ねるところから物語は始まる。
“魔眼の匣"と呼ばれるその施設は、どうやら班目機関の研究施設だったよう。彼等以外に同じバスでこの施設を訪れた高校生の男女が一組。それ以外にも取材目的の雑誌記者に加え、バイクのガス欠やら車の故障やらで偶然にたどり着いた人を加え都合9人がこの施設に集まる。
今回も、前作と同様のクローズドサークルにおける連続殺人事件である。人里離れた施設の孤独な主で、予言者と恐れられる老女が、来訪者に、「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げると、地震による土砂崩れで男一人が生き埋めになり、外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた。閉じ込められた葉村たち客人を混乱と恐怖が襲う。さらにバスで出会った女子高生も、なぜか予知能力を持っているようだ。
予知能力は実在し、予言は必ず当たることを前提にした本格ミステリー。男女とも、自分より先に2人が死ねば、自分は死ぬことがない。そんな環境の中で起きる毒殺未遂事件、そしてついに殺人が起きてしまう。あのクリスティの「そして誰もいなくなった」同様、ご丁寧に4つの人形が一つずつ減る見立てまであって、ハラハラドキドキ感も十分。
ただ、今回のは唯一の橋が焼け落ちてのクローズドサークルで、前作のぶっ飛びぶりに比べると、普通というか、地味というか。
肝心の犯人は、、、犯人足りえる人が限られるうえに減っていくので、次第に想像がついてしまうのですが、最後の圧巻の謎解きは、さすが本格ミステリー。