トラペジウム(高山 一実) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

トラペジウム
 
芥川賞の又吉直樹さん、NEWS加藤のシゲアキさん、押切もえさん、セカオワの藤崎彩織さん、AV女優の紗倉まなさん、、、けっこういろんなタレントさんが小説を書いてらっしゃる。加藤シゲアキさんを除き、やはり生い立ちやご自身のタレントとしての仕事など、自分の世界をベースに創作したものが多い。
 
乃木坂46の高山一実さんのデビュー作「トラペジウム」を読んだ。ヒロインは千葉県の田舎で、3人の仲間とアイドルを目指す高校生、著者も千葉県立安房高校在学時はアイドルオタクだったそうで、自分の高校時代の経験をベースにした創作なのだろう。
 
ほぼ半日で読了、気軽に読めた。粗い部分もあったけど、一言一言おろそかにすることなく一所懸命創作したのだろうということが伝わってくる作品で、好感が持てたし、ところどころの表現にセンスの良さも感じた。
表題のトラペジウム、花かなんかの名前かなと思ったら、オリオン座あたりにある若い星団の名前だそう。望遠鏡で見ると台形に並んだ4つの星が確認できるらしい。なるほどなー、写真展に架けられた、チープな服に身を包んだ10年前の自分たちの写真のタイトルが「トラペジウム」か。
 
自分の高校時代はバレーボールばかりだった。なりたい自分になることにひたむきだった、かけがえのないあの時代、振り返って少し胸が熱くなった。