「ウズタマ」(額賀 澪) お約束の展開、理屈抜きの感動作! | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

ウズタマ

 

周作(28歳)は、シングルマザーの紫織との結婚を控えたある日、唯一の肉親である父親から、謎の通帳を渡される。“誰か”が自分のために振込を続けてくれていたことはわかったが全く心当たりがない。唯一の真相を知る父は、脳梗塞で昏睡状態に。そうなって初めて、父の過去や自分の過去も詳しく知らないことに気づく。その“誰か”を探し始めた周作は、25年前のある傷害致死事件に行く着くのだが…。

小さな希望が灯る、新しいカタチの家族小説。(「BOOK」データベースより)

 

読書専用SNSの「読書メーター」の18年のBook of the Year作品だそうだ。今まであまり評判にならなかった作品なので、半信半疑で手に取ってみた。

父親から渡された数百万円の預金通帳をきっかけに両親に纏わる過去を探り始める。母の記憶がほとんどない周作くん、自分過去を一切語らなかった今は昏睡状態の父、それは母が不倫の果ての傷害致死事件の被害者だったからだった。しかし犯人の消息を突き止めても、不思議なことに憎しみの気持ちが沸いてこない周作くん。。。
 
はっきりいって、ストーリー展開にあまりひねりはない。半分ほど読んだ段階で、ほぼ全体の展開が読める。あとはこれがハッピーエンドになるのか、それとも別の結末になるのか、これは著者の好みの分かれるところ。自分は薄幸な皆瀬の気持ちを想い、周作頑張れとハラハラ、応援しながら読み進めることとなった。
再開も束の間、周作の前から姿を消す皆瀬、ここはやはりそうきたか。でも、周作のピンチに突如再登場し彼を救う、理屈抜きの感動作、泣かせる作品に仕上がっている。
 
血の絆の薄い人たちが築いた新たな家族の絆。折しも読了日がクリスマス、皆瀬さん、紫織さん、真結ちゃんを含む新しい家族の今後の多幸を祈りたい。
 
タイトルのウズタマってそういうことね。表紙を見れば分かるか。てっきり「渦魂」みたいな意味かと思ってた。
野菜にウズラのたまごトッピングのサッポロ一番塩ラーメン、つくってみます。