小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ―。
サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。 (「BOOK」データベースより)
おそらくは今のツヨシくんをかたち作ったであろう小4の時の成長物語であり、同時に淡い初恋の思い出でもある。
当たり前だけど小学生の頃ってすごい子供で、自分の気持ちに素直になれないと言うか、気が付けないというか。住所とか、電話番号とか、連絡先をちゃんと聞くこともしていないから、中学、高校と地層のように思い出が積み重なっていくうちに、小学校時代の大切な思い出は、記憶も定かではなくなって、追いかけようもないことになる。でも、どっこい、それは胸の奥の方で生きているはずなんだけど。
ツヨシくんの場合は、『ひみつノート』があった。それが、あの大切な思い出をよみがえらせてくれた。
今年の「新潮文庫の100冊」の重松清さんは、なんともお子様向けの、でもとても心温まる一作だった。
余談であるが、ワンの死は、我が家にも13歳の愛犬がいるだけに、身につまされた。