「神様の裏の顔」(藤崎 翔) 軽妙なミステリに、頁を繰る手が止まりませんでした | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

藤崎翔

 

神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。…のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか…。

坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?

どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞“大賞”受賞の衝撃ミステリ!

(「BOOK」データベースより)

 
序盤は坪井先生が、周囲の評価通りの人であってほしい、裏の顔なんて誤解である、そうに違いないと踏んでいたのですが、これはやっぱり悪人なのかもと少し思ってしまいました。その性格から、困っている人がいるとなんでも首を突っ込む坪井先生とその周囲で起こった数々の事件。なんてたって殺人・殺人未遂が5件、ストーカー被害が1件ですから。
 
心から信頼していた人に裏切られるとその反動も大きい。一転、右から左に、一気に坪井先生の評価が振れる。その名誉を回復したのは、通夜ぶるまいのメンバーの中で唯一坪井先生との関係性の薄いアパートの店子のお笑い芸人、寺島でした。鮎川茉紀との関係は、鮎川の方が誘ったんだし、教え子っていたって昔の話なんで、まあ目をつぶってあげましょう。
 
あれ、でも、そうなると事件の方はどうなるんだろう。これだけ偶然が続くことはないよね。やはり用意されていた驚きのどんでん返し、まあ、坪井姉妹の件は最後の方まで気が付きませんでした。これってなんか伏線があったのかな。ないとするとちょっとミスディレクションがきついんじゃないのとは思いますが。
でも、まあ、とにかく楽しいミステリでした。