「ムチョラジ」とは、スワヒリ語で「絵描きさん」の意。
アフリカ・ケニアの地で建築を教えることになった著者が、ナイロビの道端に暮らす人々を描きながら見た「貧しさの向こう側」のアフリカとは?
(「BOOK」データベースより)
この本を読むきっかけになったのは、昨年12月に都立中央図書館で開催された「アフリカ講座」で著者の講演を聴講したこと。実は、著者の坂田くんとは高校の同期同窓、永年の友人で、この日も彼を含む同期有志で忘年会、母校近くの居酒屋で杯を傾けた。
彼の本業は建築家。大学院卒業後、某建築事務所に勤務していたが、恩師からの話で、JICAの海外援助プログラムの一環としてケニア・ナイロビの大学で1年間建築学を教えることとなった。この国では、文化、文明はすべて先進国からあてがい扶持でもたらされるもの。運転手付きの車でアパートと大学を往復するだけの日々。そんな状況にふと不満を抱いた彼は、趣味の水彩画の道具を持って街に出た。
ムチョラジ、市井の人から「絵描きさん」と呼び掛けられることになった彼は、絵を通じて街の人々と触れ合い、貧しさの向こう側にエネルギッシュな真のアフリカの姿を見ることになった。
この1年間ですっかりアフリカの毒に冒されてしまった彼、今は建築事務所を退職し、ケニア人の友人と、ケニアと日本の橋渡しをする会社を興している。
講演会の会場の壁面には、その時に描いた絵が展示されていた。初期の絵は遠慮がちに描かれているが、時が経過するにつれて絵の躍動感が増していく。
この絵をゆっくり見たいという想いから、01年に書かれたこの本を購入、ラッキーなことに通販サイトで1冊、在庫が残っていた。
今度会ったときに本にサインしてもらおう。
アフリカの毒