金髪、碧眼の幼い少女という外見とは裏腹に、『死神』『悪魔』と忌避される、帝国軍の魔導大隊の指揮官、ターニャ・デグレチャフ魔導少佐。大軍を烏合の衆と嗤い、懸命の抵抗を蹂躙し、焼けといわれた街を焼く。彼女の姿は、帝国軍という暴力装置の矛先として先陣にあった。各国の思惑が入り乱れ、激化する戦局の中で、帝国軍参謀本部は、勝利の秘訣は、『前方への脱出』のみと確信する。
(「BOOK」データベースより)
タイトルのせいで、かなり誤解されているように思うのだが、萌え要素ゼロの本格ミリタリーものである。
部隊は、魔導と魔導師が通常の兵器と認識されている並行世界、時代はこちらの世界でいうところの第二次世界大戦。ヒロインは性格の悪い日本人のエリートサラリーマンが転生した幼女にして、ドイツに比定される「帝国」の魔導少佐。
そんな中、前世の記憶を活かして軍人としてのキャリアを積み、後方勤務で順風満帆な人生を送ろうと目論むターニャであったが、思惑は外れ、その能力ゆえに最前線に送り込まれ続ける。
で、アップが前後したが、「幼女戦記」の第二巻である。
ユーゴスラビアっぽい南のダキア大公国が攻め込んでくるが、ターニャ率いる第二百三魔道大隊は、歩兵のみのダキア軍を容赦なく葬った上に、混乱に乗じてダキアの首都に進攻、爆撃を加える。北部では、ノルウェー、スウェーデンっぽい協商連合の艦隊と闘い、因縁となるアンソン魔導大佐も撃破。西のアレーヌ市で民兵が蜂起すると、取って返して鎮圧、民兵と合流した共和国軍を排除。
南に、北に、西に、最前線に配備された「幼女の皮をかぶった悪魔」ターニャ・デグレチェフ少佐とその大隊の、凄惨極まりない、容赦ない大活躍である。
相互誤解と疑心暗鬼、帝国という「出る杭」は打たれ続ける。戦争などしたくないのに、攻め込まれた敵に痛打を与えてはその強さを危険視され、戦線ますます拡大していってしまう。
そしていよいよ西部戦線で共和国と対峙する。アニメ化された部分なので概ねストーリーは分かっていたが、やはり小説で読むと小気味よく面白い。500頁以上の長さも気にならなかった。