「空想科学読本」(柳田理科雄) 昔も、今も、男の子な自分がいとおしくなる本 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

空想科学読本

 

マンガやアニメ、特撮映画などで描かれる設定やエピソードは、科学的にどこまで正しいのだろうか?初刊行から20年、累計500万部突破のベストセラー『空想科学読本』シリーズから、原稿31本を厳選、全面改訂して収録する。

本書で検証するのは『ウルトラマン』『ONE PIECE』『名探偵コナン』『シン・ゴジラ』『おそ松さん』など、世代を超えて愛される作品の数々。爆笑の果てに、人間が描いた夢の世界の素晴らしさが見えてくる!

(「BOOK」データベースより)

 

幼少の頃、怪獣映画やウルトラマンシリーズにどっぷりはまった自分は、それぞれの怪獣の身長、体重、武器、弱点をかなり詳細に暗記していた。例えば、怪獣の中で一番高温の火炎を発するのはザンボラーである。その温度はなんと10万度、ザンボラーという、ゴジラなどに比べれば明らかにマイナーなこの怪獣が、火炎の温度という一点においては最強である。それを知っているということが、自慢であった。

それを、この本は、10万度という温度が無意味かつ非現実的で、町や森を焼くのであれば1000度で十分、むしろその方が効率的であるということを、いとも爽やかに教えてくれた。

 

それももう20年くらい前の話で、今ではこの本を読んだこと自体が、すでに懐かしい話になってしまった。

それが、今、角川文庫になって鮮やかによみがえった。読んだ記憶がある話に加え、シン・ゴジラやおそ松さんなど最近のネタもあり、大変楽しく読ませていただいた。

 

マンガ、アニメ、特撮ヒーローものの設定が科学的にいかに無理があるか、そんなことを真面目に語る本である。そんな、無理があるにきまっていることを、長じてあれこれ考えること自体がノスタルジーであり、大人になった子供である自分は、それがとても楽しい。