「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(映画) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

僕は明日、昨日の君とデートする

 

七月隆文さんの原作小説は、1年くらい前に読んだ。京都を舞台にした、ファンタジー系青春・恋愛物語。

タイムパラドックスものなのだけど、表題からしてネタバレで、数時間程度で読んだが、さして強い印象は残らなかった小説だ。

 

今回は、福士創太、小松菜奈主演で昨年末に公開された映画の話。

といって、映画館に足を運んだわけではない。出張のフライトでプログラムにあったので、さして期待をしないで見始めたのだが、これが、失礼ながら、意外にも良かった。

「原作を読んで感動したので映画も見てみたが、その出来栄えにガッカリ」みたいなことはよくあるが、その逆の映画にはなかなか出会えないもの。

 

時間が逆に流れるパラレルワールドという、小説ならではの無理目の設定が、実にうまく映像で説明されていて、それがまた切ない。

小説では出てこない、二人の30日間の前後の時間のことが丁寧に映像化されていて、原作からは読み取れなかったことが、すーっと腑に落ちてきた。

 

最初はダサかった、福士創太演じる南山クンが、小松菜奈演じる福寿さんに髪も切ってもらって、次第に洗練されていく。

一方で、福寿さんの不可解な涙とかも、なるほど小説では読み飛ばしてしまったけど、彼女の立場に立ってみればそういうことになる。エンドロールの後に流れる二人の出会いのシーン、でも彼女にとっての出会いは別れなのだ。

 

思わず良い映画が見られてお得な気分にさせられた。