「ずうのめ人形」(澤村伊智) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

ずうのめ人形

 

不審死を遂げたライターが遺した原稿。オカルト雑誌で働く藤間は、作中に登場する「ずうのめ人形」という都市伝説に惹かれていく。

読み進めるごとに現実に現れる喪服の人形。迫り来る怪異を防ぐため、藤間は先輩である野崎に助けを求めるが―はたしてこの物語は「ホンモノ」か。

(「BOOK」データベースより)

 

「このビデオを見たものは、1週間で死ぬ」、あの「リング」を読んだ時の衝撃、未だに忘れられません。「リング」は一種の社会現象のようになりました。貞子の名はそういう人の代名詞みたいに言われた。

映画も怖かった。私はちょうどそのころ香港に駐在していたのですが、香港でも、明らかに映画館で撮ったと思われる海賊版のDVDが、女人街でたくさん売ってました。でも、映画も、あの原作の衝撃にはかなわない。

あれももう20年以上前の話なのですよね。

 

で、この小説ですが、その「リング」の下位互換小説と言えなくもない。

都市伝説が事実として存在し、人形に惨殺されてしまうという話ですが、呪いが発生した経緯が今一つ良くわからないし、呪いの発動を回避する方法もひねりがない。叙述トリックもちょっと凝り過ぎというか、そもそも必要だったのかなと思わなくもありません。

 

でも、そういうことを抜きにして、久しぶりに「ぞわっと来る」小説を読んだ気分です。

夜中に一気読みして、でも、最後まで読むと怖くなってしまうから、ラストは翌日の昼に読みました。

今年の山本周五郎賞ノミネート作品、受賞は逃してしまったけど、私は十分に満足しました。