「リバース」(湊かなえ) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

 

深瀬和久は平凡を絵に描いたようなサラリーマンで、趣味らしいことといえばコーヒーを飲むことだった。その縁で、越智美穂子という彼女もできてようやく自分の人生にも彩りが添えられる。と思った矢先、謎の告発文が彼女に送りつけられた。そこにはたった一行、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。

深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。ついに“あのこと”を話す時がきてしまったのか、と。

(「BOOK」データベースより)

 

読んだきっかけは、TVドラマ化。

もっとも原作は300頁足らずなので、あっさり1日で読み終わってしまった。

「夜行観覧車」「Nのために」など、湊さんのミステリーは、よく1クールのドラマになる印象がある。脚本家がうまいのか、それとも膨らませやすい小説なのか、いずれもドラマとしてなかなかの出来栄えであった。

今回の「リバース」も、第2話で原作の約半分が終わってしまい、残りの放送、どうするんだろうとやや心配になったが、武田鉄矢みたく原作にない登場人物も出てるし、由貴のお母さん役の片平なぎさも謎の動きをみせているし、これから盛り上げて尺を持たせてくれるのだろう。

 

原作の方は、途中でなんとなく結末が見えてしまい、過去の罪自体も、事故に近い、それほど深刻な犯罪ではない。むしろ、広沢由貴の友情に対する心理描写を「いい話じゃないか」と思いながら読んでいた。イヤミスの女王にしては、意外と淡々とした話かなと思っていたのだが、、、

最後の1ページで、やってくれますね、湊さん、ああ、そういえば「ユートピア」もなんかこんな感じの終わり方だったな。

 

さて、この話を、TVドラマはどうみせてくれるのか、なかなかに楽しみです。