(内容)
「東大の日本史」は、単なる入試問題で片付けられない。 「東大日本史」ほど“深い"入試問題はありません。すべての日本史予備校講師を魅了してやまない「東大日本史」。だから、この「東大日本史」をすべての歴史ファンに知って欲しい。
「東大日本史」の入試問題は、単に覚えた知識を“披露する"という類の、知っていればできるというものではなく、歴史学的視点をもとに思考をしなくては解答までたどり着くことができない「良問」です。 本書は、この東大日本史入試問題を題材として、日本史の出来事や制度の、あまり知られていない「側面」を考えてみよう、というものです。
東大の問題から、ある事実を考えると、実はステレオタイプの理解にとどまっていたのでは?と“深く"考えさせられます。そして、東大の問題が、私たちに「あるメッセージ」を投げかけていることにも気づくことができます。 こんなに“深い"入試問題は、他に例を見ません。 東大の入試問題で、あなたの知っている「歴史」を見直してみるのはいかがでしょうか?
(感想)
「鎌倉時代にのみすぐれた宗教家が輩出したのはなぜか」
「豊臣秀吉はなぜ『伴天連禁止令』を出したのか」
「武士が政権を取っても、天皇家が滅びなかったのはなぜか」
「後醍醐天皇の『建武の新政』はなぜ失敗したのか」
シリーズ全3巻読了しました。
1冊20問×3冊で、計60問。設問は、政治から経済、文化まで幅広く、深いです。
著者の相澤理さんはあの東進ハイスクールの講師、実にわかりやすい説明で、歴史ヲタの自分としては見逃せません。
日本史の基本は、やはり暗記なのだと思います。高校の教科書に載っている程度の過去の事象は、これはやはり知っていなければ話にならない。
その暗記した知識をベースに、あたかもジグソーパズルを組み立てるがごとく、はたまた良質なミステリーを解くがごとく、断片的な情報の奥に隠された歴史の真実を探っていく、これがこの本の醍醐味です。
和同開珎などの貨幣発行の背景に、律令政治の機能不全とそれによる財政難があったり、おもわず「なるほど」とうなってしまう設問が多々ありました。
正解が概ね想像できる問題も少なくなかったのですが、それを「150字以内で書け」と言われると、これがまた至難の技。
事象を知識として暗記する力と、それを組み立て推理する力と、それを簡潔的確に表現する力。さすが、これを正解する学生さんは、最高学府たる東大にふさわしい。
よく「歴史は繰り返す」と言われます。
それは、歴史の結果は、あたかも水が低きに流れるがごとく、当然の帰結として起こったここであり、また、それに至る発想や行動様式が、我々日本人のDNAに組み込まれたものだからと思います。
現在の日本も、少子高齢化や財政赤字、隣国との外交など、実に様々な問題を抱えています。
それを考える上で、日本史を学ぶことは大いに役に立ちます。今だからこそ、歴史を学ばなければならいと、痛切に感じます。