戦後80年 妻夫木聡のもっと知りたい沖縄 | 帰ってきた神保町日記      ~Return to the Kingdom of Books~

戦後80年 妻夫木聡のもっと知りたい沖縄

 今朝NHKで放送された「あさイチ」のゲストは妻夫木聡さん。そして特集が「戦後80年 もっと知りたい沖縄」

 出勤直前だったので、帰宅してからNHK+でじっくり見ました。

 妻夫木さんは今年の9月に公開される映画「宝島」で主演を務めています。そしてこの物語の主要な舞台となっているのが、沖縄のコザです。

 番組の特集では妻夫木さんがコザの街を歩くところから始まりました。そして冒頭でいきなり映ったのがシアタードーナツと店主の宮島さん!思わず笑ってしまいました。

 シアタードーナツはつい先日行ってきたばかりで、その時に宮島さんから妻夫木さんがちょくちょくそこへコーヒーを飲みに来ることを聞いていました。しかし本当にこんなに親しい間柄だったとは!

 コザの街案内から始まり、よく知っている場所がたくさん出てきました。

 気楽に見始めたのですが、番組の内容は戦後沖縄史の闇とも言える「コザ暴動」を取り上げ、基地と暮らす沖縄の人々の様子、さらに佐喜眞美術館に展示されている「沖縄戦の図」の紹介になりました。朝から見るにはかなり深くて重い、だけれどもとても大切なことを伝えてくれる特集でした。

 旅の案内役の妻夫木さんは、公私ともども20年以上沖縄に通っているそうですが、沖縄の人々や歴史に対する真摯で誠実な姿がとても印象的でした。

 僕も20年以上ほぼ毎年のように沖縄に通っていますが、まだまだ知らないこと、知らなければいけないことがたくさんあると教えられました。

 そんな沖縄の中で、今いちばん関心を持っている場所がコザです。

 なぜこんなにコザの街にハマっているのか?

 それはこの街には今の沖縄のリアルが色濃く出ていると感じているからです。

 コザには極東最大のアメリカ軍嘉手納基地があります。基地のメインゲートからまっすぐにコザの街に向かって伸びる通りはゲート通りと呼ばれ、コザを象徴する場所です。この通りにはベトナム戦争当時、出征するアメリカ兵を相手にしたバーやライブハウスが立ち並んでいました。当時からの店がどのくらい残っているのかは分かりませんが、今も米兵相手の店がたくさんあります。夜になりそれらの店のネオンサインが輝きだすと、とても日本とは思えない光景が広がります。Pay Dayと呼ばれる米兵の給料日にもなると、街は米兵であふれ、本当にここは日本なのか?という雰囲気になります。

 一方ゲート通りから少し外れてアーケード街の中に入っていくと、またガラリと雰囲気が変わります。かつては繁盛した商店街は、昼間はシャッターを閉めたままの店が目立ちます。でも夜になるとゲート通り同様、たくさんの飲食店が営業し、多くの人々でにぎわいます。

 街と行政が協力し、空き店舗をリノベーションし、新しいビジネスを始めている人も増えています。

 またコザは音楽の街でもあります。中心地とも言うべき胡屋十字路にはミュージックタウン音市場があり、人気アーティストのライブも行われています。同じ施設の中にエイサー会館があり、毎年コザで行われる沖縄全島エイサー祭は沖縄を代表するビッグイベントです。

 映像面でもユニークです。個性的な映画館シアタードーナツがあります。
 現在公開中の「木の上の軍隊」を製作したプロジェクト9は、コザに拠点があります。監督・脚本の平一紘さんはコザで生まれ育った方です。

 このように飲食はもちろん、今の沖縄のカルチャーの面白いものはコザから発信されている、と僕は感じています。 

 米軍基地という沖縄が直面し続けている切実な問題と向き合いながらも、街と人々が発するしたたかなパワーをひしひしと感じます。

 まだ数回しかこの街を訪れていませんが、行くたびに新しい発見と面白さがあり、まだまだこれからも通い続けたい街です。