シリーズ史上最高の人間ドラマ!そして最高の神木隆之介!「ゴジラ-1.0」 | 帰ってきた神保町日記      ~Return to the Kingdom of Books~

シリーズ史上最高の人間ドラマ!そして最高の神木隆之介!「ゴジラ-1.0」

『ゴジラ -1.0』

 

 2ヶ月ぶりの更新です(笑)

 明日から公開の「ゴジラ -1.0」ですが、昨日、東京国際映画祭のクロージング上映で一足お先に観てきました。

 山崎貴監督と、主演の神木隆之介くん、浜辺美波さんが舞台挨拶に登壇し、映画祭らしい華やかな上映でした。

 さて、映画はと言うと、おっと、内容を知りたくない人はここから先は読まないでください。

 でも、一言書いておくと、これは「ゴジラ」シリーズの中でも傑作であることは間違いありません!

 

 「ゴジラ」の主役は言うまでもなく「ゴジラ」です。それは1作目から一貫しています。

 今作においてもゴジラが主役であることは間違いありませんが、一方で人間ドラマがしっかりと作られていて、ラストはこの物語で泣きそうになりました。

 舞台は戦後間もない日本。「ゴジラ」の1作目は1954年公開で、当時も戦後からの復興の真っ只中でした。そのため今作での戦後間もないという時代設定は、初代ゴジラへのオマージュかと思っていました。確かにそういう面はあるのですが、実はこの時代設定でなければならない必然性があったのです。

 神木隆之介くん演じる主人公・敷島浩一は、特攻隊員でした。しかし任務のため飛び立ったものの、死ぬのが怖くなり、飛行機の不調を偽って特攻を中止し、生き残ります。

 そして着陸した島でゴジラに遭遇し、さらにそこでゴジラに襲われる軍の仲間たちを見殺しにしてしまいます。

 そんな生き残った罪悪感を抱えながら敷島は戦後を迎えます。

 戦後、生き残った人々は、多かれ少なかれ敷島と同じように罪悪感や無力感を抱えていました。

 国に言われるがままに戦争を戦い、手にしたのは荒廃した国土と無数の死者でした。

 それでも新たな日本の再生に向けて進み始めた人々に、まるで追い討ちをかけるようにゴジラが現れ、復興半ばの東京を破壊し尽くします。

 ここで、この時代設定が効いてきます。

 1951年のサンフランシスコ平和条約が結ばれるまでの日本は、軍備を持つことは許されませんでした。さらに当時はアメリカとソ連が緊迫した状態にあり、ゴジラを駆逐するためにアメリカが軍事介入することを拒否していました。

 巨大で強力なゴジラに対して、十分な軍備も武器もなく、他国の支援も受けられない日本。

 そんな中、生き残るために元軍人たちが立ち上がり、アメリカから払い下げられた非武装の軍艦を使い、一撃必殺の作戦を決行します。

 彼らは太平洋戦争では、個人の意思とは関係なく国の命令に従わされ、国のために死ぬことを強いられました。

 しかしゴジラを目の前にした彼らは、今度は生きるため、家族と故郷を守るため、自らの意思で戦うことを選びます。

 日本が、日本人が、自らの意思で選択し、生きるために立ち上がる姿を描くのが、この映画のメッセージだと思いました。

 間違いを恐れずに書けば、もしも本当にあの時ゴジラが日本に現れていたら、今の日本はもっとマシな国になっていたのかもしれません。そいう意味ではこの映画は、現代日本に喝を入れる作品でもあると思います。

 ゴジラによる銀座の破壊シーンや、クライマックスの決戦は、本当に見応えがあります。日本のVFXはハリウッドに全然負けていません。いや、胸を張って世界に見せつけられる会心の出来栄えです!

 迫力あるVFXと人間ドラマのバランスがとても良く、まさに王道のエンターテインメントとなっています。

 神木隆之介くんは、これまで観た中で最高にカッコイイ姿を見せてくれます。神木ファンは必見です!!

 ぜひIMAXでもう一度見直したいと思います。