ハリソン・フォードに拍手を!!「インディ・ジョーンズと運命のダイアル」 | 帰ってきた神保町日記      ~Return to the Kingdom of Books~

ハリソン・フォードに拍手を!!「インディ・ジョーンズと運命のダイアル」

『インディ・ジョーンズと運命のダイアル』

 

 シリーズ開始から42年、ハリソン・フォード81歳での最新作にして集大成!

 1作目の公開時から観てきたものとしては感慨深かったです。

 正直、前作の「クリスタル・スカルの王国」が残念な出来だったので、「ハリソン・フォードの年齢的にも、これでシリーズも終わりだろうな〜」と寂しく思っていたのですが、まさかの新作!

 しかし80歳のハリソン・フォードに往年のインディ・ジョーンズが演じられるのだろうか?という不安はありました。

 その不安は杞憂でした。

 さすがにアクションに全盛期のキレはないものの、年齢を考えれば信じられないような活躍を見せてくれます。

 オープニングからクライマックスまで、インディ・ジョーンズらしいアクションの連続。過去のシリーズへのオマージュ的な場面もところどころ散りばめられていて、ファンなら思わずニヤリとしてしまいます。

 今回の時代背景が1969年というのも興味深かったです。

 映画の中でも出てきますが、おりしも人類が初めて月面に着陸した直後。帰還した宇宙飛行士の歓迎パレードが行われる中、派手な追撃戦が展開されます。

 インディ・ジョーンズは人生を賭けて古代のロマンを追い求めてきた人物。そのインディも大学教授の職を引退することになります。

 その年に当時の人類が最新鋭の科学で月面に到達したことは、何か象徴的な感じがしました。

 それでもインディはアルキメデスが遺したとされる時間を制御できるダイアルをめぐり、第二次大戦中から続くナチスとの因縁の戦いに決着をつけるべく、新たなパートナーと共に冒険の旅に出かけます。

 ライバル役のマッツ・ミケルセン、旧友役のアントニオ・バンデラスという豪華な配役に加え、1作目から出演しているジョン・リス=デイビスの出演は、ファンとしてはとても嬉しいことでした。

 キャラクターの設定にも過去作へのオマージュが感じられます。

 パートナーのヘレナ・ショウを演じたフィービー・ウォーラー=ブリッジは、過去のシリーズに登場した女性パートナーのキャラクターをミックスしたような感じです。

 もう一人のパートナー、14歳の少年イーサン・イシドールは、「魔宮の伝説」に出てきたショート・ラウンド(キー・ホイ・クアン)を彷彿させます。

 しかしこの作品で最も驚かされたのは、冒頭で展開する1940年代のナチスとの戦い。ここでは40代の姿のハリソン・フォードが全編に渡って活躍します。

 予告編でも若いインディの映像が出ていたので、僕はてっきり回想シーンで過去のシリーズで撮影された映像が引用されているだけだと思っていました。

 実はそうではありませんでした!

 実際のシーンは現在のハリソン・フォードが演じているそうです。そこにルーカス・フィルムが保存していた「インディ・ジョーンズ」や「スター・ウォーズ」の未公開シーンも含む膨大な映像の中から、それぞれのシーンに適したものをAIが検索し、デジタル技術で取り込んでいったのだそうです。

 映画を観ていても全く違和感がなく、まるで40年前のハリソン・フォードで撮影したとしか思えません!

 改めて現代のデジタルとAI技術の進歩のすごさを感じました。

 この技術を使えば、ブルース・リーの「死亡遊戯」も完璧な形でリメイクできる!なんて思いました。

 クライマックスの展開には賛否があるようですね。僕もあれはやりすぎかな〜(笑)と思いましたが、古代のロマンを追い求め続けてきたインディへのご褒美と考えれば、あれはあれで良い気がします。

 ハリソン・フォードが演じるインディ・ジョーンズは、さすがにこれが最後でしょう。

 映画史に残る最高の活劇キャラクターを演じ続けてくれたハリソン・フォードに、心から拍手を贈ります。