タイトル長いけど、めちゃ面白い!「フレンチ・ディスパッチ」
2月に観た映画で、まだレビューしていない作品がいくつかあるので、順に上げていきます。
まずはウェス・アンダーソン監督の新作「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊」。タイトル長い!(笑)でもやはりアンダーソン監督、今回も大満足の面白さでした!
アメリカの新聞「カンザス・イブニング・サン」の別冊で、フランスの街アンニュイ=シュール=ブラゼに編集部を構える雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の編集長が急死!彼の遺言により、雑誌の廃刊が決まる。編集長の追悼号にして最終号への掲載記事を書くために、二癖も三癖もあるライターたちが集められる。
こうして書かれた「確固たる名作」「宣言書の改訂」「警察署長の食事室」の3つの記事に関するエピソードが展開する。
「確固たる名作」は現代絵画に才能を発揮する囚人の話。
「宣言書の改訂」は学生運動と男女の恋愛の話。
「警察署長の食事室」は誘拐サスペンスとグルメ。
それぞれのエピソードにウェス・アンダーソン作品の常連俳優を含め、ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、レア・セドゥ、フランシス・マクドーマンド、ティモシー・シャラメ、リナ・クードリ、ジェフリー・ライト、マチュー・アマルリック、スティーブ・パーク、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、その他まだまだ主演級の俳優が続々と登場します。でも「え!そんだけ!?」というくらい出番の少ない人も多く、その贅沢な使いっぷりにクラクラします。
映像はアンダーソン監督ならではの、シンメトリーと鮮やかな色彩を活かしたセンスの良い画面構成。オープニングからアンダーソン・ワールドに引き込まれます。
それぞれのエピソードも傑作です。雑誌記者が最高の記事を書くために取材する、という体裁を取っており、次から次へと破天荒な人々が現れ、予想外の展開が繰り広げられます。
監督独特のちょっとゆる〜い演出も、観ていて何だか心地良いのです。
「グランド・ブダペスト・ホテル」でもあった、突然のアニメーションが、今回も用意されています。「そこをアニメでやるのか!」と笑ってしまいました。
たくさんの俳優が出てきますが、特に印象に残ったのは「宣言書の改訂」で主役を演じたティモシー・シャラメ。「君の名前で僕を呼んで」を観た時は演技の上手い美男子、くらいにしか思っていませんでしたが、最近作の「DUNE/砂の惑星」や「ドント・ルック・アップ」などでどんどん役者としての幅を広げていて、今作でも学生運動に燃える若者がハマっています。これからの作品も楽しみです!
映画の中の美術同様に、何種類も作られたポスタービジュアルも素敵です。このポスター欲しい〜!と思ったのですが、残念ながら販売はされませんでした。絶対売れると思うのになあ。