何が何だかよくわからなかったけど、何だかすごいものを観てしまったことだけはよくわかる映画
何だか売れそうにないラノベのタイトルみたいになってしまいましたが、まあそういう映画を紹介します。
先月、僕の行きつけのミニシアターである川崎市アートセンターでアンドレイ・タルコフスキーの特集上映があり、そこで久しぶりにタルコフスキーの映画をまとめて観たことをブログに書きました。
初見の作品もあれば約30年ぶりに観たものもありました。初めて観た当時はよく理解できなかったのですが、流石にあれからそれなりに人生経験も積んできています。今回は結構よくわかるようになったのでは?と思いながら観ていたのですが、やはりよく分かりませんでした(笑)。まだまだ修行が足りないことを痛感しています。
それでも決してつまらなかったわけではなく「やはり何だかすごい映画だったなあ」ということだけは心に残るのです。
世の中にはそういう映画が間違いなく存在します。
そういう映画の金字塔と言えば、やはり「2001年宇宙の旅」でしょう。
僕がこの作品を初めて観たのは高校生くらいの頃でしょうか。テレビ放映かビデオだったと思います。当然その時はよく理解できず、その後も何年か置きに映画館でのリバイバル上映やDVDなどで何度か見直してきていますが、やはりまだまだ謎の多い映画です。
モノリス(石板)って何だったの?
なぜHAL9000は反乱を起こしたの?
スターゲイトって何だったの?
なぜボウマン船長はスターチャイルドになっちゃったの?
宇宙飛行士がコックピットでストローでチュウチュウ食べてた宇宙食って何だったの?
それでもなぜかまた観たくなってしまうのです。
事実、これだけ難解な内容にも関わらず、様々な映画のオールタイムベストでは常に上位に挙げられる、世界の映画ファンが認める名作です。
「地獄の黙示録」もそういう映画のひとつでしょうね。
ワーグナーのワルキューレをBGMにヘリコプターが奇襲をかけるシーンの印象が強烈ですが、内容は極めて哲学的です。
クライマックスのカーツ大佐との対峙シーンは、何度見ても色々な解釈が頭の中を巡ります。
この映画もこれまでに様々なバージョンで劇場公開されてきていますが、その度に観に行っています。惹きつけられる魅力のある映画です。
こんな風に内容はよく理解できなくても、その映像のイメージの強烈さで心に深く差し込んでくる作品はいくつもあります。それが映画のすごいところですし、そういう映画は名作と言ってよいと思います。
この他に僕が観てきたそんな映画を以下に3本紹介します。
まずは「ニーチェの馬」。
2011年の作品で、ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督の遺作。
詳しくは観た当時のブログで読んで欲しいのですが、年老いた父親とその娘の6日間の生活を、モノクロの映像で1シーン1カットで描いた作品。とにかく辛気臭い親子が、ジャガイモの食事を食べ、馬を引いて、という単調な生活が繰り返されるだけな映画なのです。こんな内容で2時間半以上あります。観ること自体が修行といってもよいでしょう。でも何だかすごいのです。
続いては「父、帰る」。
2003年製作のロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の作品。ヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞しています。
これも詳しくは観た当時のブログを参照ください。
実はストーリー自体はいたってシンプルなのですが、とにかく映画の中でいくつもの謎が登場します。それなのにそれらの謎についての説明は一切なく、唖然としつつエンディングを迎えます。
映画を観た後、色々調べてみると、キリスト教や、ソ連からロシアへの体制の変化についての暗喩が含まれているらしいとのことでした。それはまあ深いし、難しいですわ。
でも映像的にはタルコフスキーを彷彿させる水や緑のイメージがふんだんに登場し、謎多きストーリーと共にとても惹きつけられました。
最後は「日陽はしづかに発酵し… 」。
1988年製作のロシアのアレクサンドル・N・ソクーロフ監督の作品。
これはブログを始める以前に観た映画なので、当時の感想は残っていません。
どんな映画だったか、と問われても正直うまく説明できません。
セピアの色調でどことなくエロティックで、終末感の漂う映像が強烈な印象として残っています。
これも機会があれば、ぜひもう一度スクリーンで観てみたい作品です。
他に紹介したい作品はありますが、とりあえず今回はここまで。
興味が湧いた作品があれば、以下にリンクを貼っておきますので、ネット配信やDVD、Blu-rayで観て観てください。でも本当はどの作品もぜひスクリーンで観てほしいものばかりです。