スターウォーズ愛にあふれたサイドストーリー「ローグ・ワン」
昨年のエピソード7公開から1年後に、スターウォーズの新作が観られるとは!
もちろん公開初日の金曜日から観てきました!しかもこの週末にIMAXで2回目の鑑賞(笑)。
つまり面白かったってことです。
今回のストーリーはエピソード4の直前を描いたサイドストーリー。小説やアニメーションではたくさんのサイドストーリーが発表されていますが、ルーカスフィルムが正式に製作した劇場用実写作品はこれが初めて。それだけに期待と不安が入り交じりつつ公開を待ちました。
でも観終わって深い満足感と感動に満たされました。
今作の主要登場人物のほとんどは、この作品で初めて登場する人たちばかり。反乱軍の名も無き戦士たちの活躍を描いた物語です。
これまでのエピソード1〜6の主要キャストの中で登場するのはダース・ベイダーのみ。厳密に言うとちょっと違うのだけど、ネタバレになるのでこれ以上は書けません(笑)。
ストーリーはいたってシンプル。帝国軍が開発した究極破壊兵器デス・スターを攻略するため、その設計図を反乱軍の志願部隊「ローグ・ワン」が命懸けで盗み出す、というもの。
そういった意味では、これまでスターウォーズを観たことがない人でも物語に入り込めます。
でもこれまでスターウォーズを観てきた人には、さらに楽しめる仕掛けがふんだんに盛り込まれています。
中でもエピソード4以降に登場する反乱軍の兵士たち。その大半は役名も知られず、あるいは役名すら与えられず戦いの中で消えていきます。でもそんな無名の兵士たちすべてが主役なのが、この「ローグ・ワン」なのです。
よほどのファンでないと気がつかないでしょうが、クライマックスの戦闘シーンでは、エピソード4のデス・スターとの戦闘で登場した反乱軍のパイロットの何人かが登場します。それも当時の姿のままで!おそらく未使用カットの流用だと思いますが、これには泣きました。作り手のスター・ウォーズ愛を強く感じた場面でした。
このクライマックスの戦闘シーンが実にすばらしい。エピソード4〜5の数々の戦闘シーンへのオマージュがうまく込められており、シリーズ史上に残る名シーンだと思います。
無名戦士を描いた、と書きましたが、戦争映画という観点でもよくできた作品だと思います。戦争とは敵、味方双方とも、たくさんの名も無き人々がそれぞれの大義のために命を賭けるものです。そこには善悪の境界線はありません。
これまでのスター・ウォーズシリーズは、帝国軍=悪、反乱軍=善という図式がありましたが、この「ローグ・ワン」の中では、反乱軍の大義のために汚いことにも手を染めてきた、という反乱軍戦士たちの苦悩も描かれています。
また帝国軍の主要キャラクターである将校のクレニックには、中間管理職の悲哀のようなものが感じられ、リアリティがあります。
そんな戦争のむなしさが描かれているところも、これまでのシリーズとは違うところです。そう言えば、クライマックスのビーチでの戦闘シーンは、スピルバーグが「プライベート・ライアン」で描いたノルマンディー上陸作戦を思わせますね。
ちなみに今回のキャラクターの中では、2人の中国人俳優が演じたチアルートとベイズのコンビがお気に入りです。
エピソード4“A NEW HOPE”につながるエンディングで、胸がいっぱいになりました。