え~、江原真二郎がお亡くなりになっていたそうでございます。先にお亡くなりになったご子息が幼い頃は、一家4人で歯磨きのCMにお出になられ、新しい家族のモデルケースのようなご家庭でいらっしゃいました。何でお見送りって、私は、今井正の「米」という映画が大好きでございますので、やっぱりこれでございます。

 

今年、念願の霞ケ浦の帆掛け船を見に行って参りました。息子が親を温泉に連れて行くという年頭の誓いを守るというので、方位取りで麻生温泉に連れてってもらいました。まあ、鰻は旨かろう、こんなにお水が豊かなんだから、お米も美味しかろう、そういう土地でございました。他に、お醤油もお豆腐も、イワシの缶詰も美味しい。

 

この映画の主人公、望月優子は、バリバリの社会派になりまして、旧・社会党から議員さんにおなりになりました。小作が土地を失ったら、もう、生きて行かれないと思い込んだ主人公。密漁の網も取られ、話をつけるために頭に浮かぶ方法は、卵20個も買うべが~、とか、大きな鰻を持って行こうかと、貧困と無知が切り離せないお母さんのお話。

 

映画のラストで、江原真二郎が親を連れてバスを降り、嫁に迎える挨拶に来た、その時、このお母さんの葬送行進が通り過ぎるのでございます。

 

 

そして、吉田喜重がお亡くなりになったそうで。岡田茉莉子はどうしてらっしゃることかしら。

 

まず、これと思います映画は「戒厳令」でございますが、それが今の時代、果たしてどうか。脚本が別役実で、白黒のはっきりした映像で、そのコントラスが目に焼き付きます。特に、私が印象的だったのは、佐藤浩市そっくりの壮年期の三国連太郎が演じる北一輝が中国服を着て、黒い家々の間の白い道を歩くシーン。まるでキリコの絵のようでございました。

 

この映画の製作は、岡田茉莉子と上野昂志とATGの葛井欣士朗でございましたが、おそらくお金のほとんどは岡田茉莉子でございましたでしょう。上野昂志、一時、私の先生でございまして、みんなで同人誌を作っておりました。う~ん、私が二十歳くらいの頃かな。

 

つまり、吉田喜重の一番のファンは岡田茉莉子でございましょう。森英恵のウェディングドレスをトランクに入れて、ヨーロッパでの挙式、今、思いましても、戦後の新しい形の夫婦の姿でございました。

 

ご覧になって気分が悪くなる予感がする方は、ご遠慮下さいませ。ご出演の若い女優さん、倉野章子のお若い頃、今は角野卓三の奥様でございます。

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こちらは、岡田茉莉子と結婚のきっかけになった映画、当時のベストセラーが原作の「秋津温泉」。やっぱり、カメラのアングルが、松竹のヌーベルバーグだと言えば、言えますわね。アップに対する明暗が、この監督の特徴でございます。

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こうした新しい形の人々が、贅沢なくらいに大きな希望を持って、戦後の日本の方向性を健康的に導いてくれたから、こ~んなに健康優良児みたいな日本になったんだと存じます。

 

謹んで、心より、お悔やみ申します。