「査定して幾らを高いと思うのか買取無用着てこその着物」

     成澤 弘子

 

 

 

 

この頃、古酒買取というのを目に致します。封を開いてあっても買い取りますと書いてございます。でも、飲み物でしょう? いいのかしら。私には、その感覚がまったく分かりませんのが、ヘネシーやナポレオンなんかより、山崎のほうが高いこと。年によるのでしょうが、たかがウィスキーで数十万円から100万前後する山崎もございます。

 

この間、セレブの従姉に、まだ離婚した結婚指輪を持っているのか、そんなもの、とっとと売っちゃいなさい、あなた方がいい暮らしをしていた時のものだから、値が付くからと。で、ギンザタナカに行って売って来ました。プラチナですので、金ほど高くはございませんが、あれに値が付いたというより、物を捨てるって、こういうことなのかと、身が軽くなったみたいで、目からうろこでございました。

 

それから、いろんなものを捨てております。捨てることが楽しくなりました。

 

でも、着物はね、私も研究家ですので分かりますが、幾らでお買いになったお着物か、値段はないとお思いになったほうがよろしいわ。CMでは何とでも言うでしょうが、着物のレンタルや古着屋さんの値段をご覧なさいな、あの値段から儲けを引いた値段に必要経費を引いた値段が買取値段ですのよ。着物は、お金になりません。だから、自ら、お金を着るのです。

 

それもこれも、自分で着られなくなった人が多いからのことで、練習すれば、なんてことはございませんのに。明治の人が、日本女性が将来、着物の着付け教室に行くなんて、想像出来たかしら~~~~~。