「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」最終章にふさわしい、スケール感あふれる娯楽大作 | 『Pickup Cinema』

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2022年製作/147分/G/アメリカ 監督:コリン・トレボロウ、出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムほか

原題:Jurassic World: Dominion 配給:東宝東和 劇場公開日 2022年7月29日

 

1993年に公開され、その映像技術の素晴らしさで世界を驚かせた「ジュラシック・パーク」シリーズの最終章。

製作総指揮を産みの親であるスティーブン・スピルバーグが担当、キャストにも懐かしいメンバーが揃い、ロケ地もカナダ、マルタ島、スイスなど世界各地を舞台に恐竜たちが暴れまわる。

ジュラシック・ワールドのあった島が火山の大噴火で壊滅し、救出された恐竜たちは、人間社会へと放たれてしまった。

あれから4年、人類はいまだ恐竜との安全な共生の道を見出せずにいる。

恐竜の保護活動を続けるオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、人里離れた山小屋で暮らしていた。

そこで二人が守っているのは、14歳になったメイジー(イザベラ・サーモン)。ジュラシック・パーク創設に協力したロックウッドの亡き娘から作られたクローンの少女だ。しかし、思春期を迎えたメイジ―は、何かと反抗的な態度を取っていた。

ある日、オーウェンは森の中で子を連れたブルーと再会するが、何者かによって、ブルーの子が誘拐される。「俺が取り戻してやる」とオーウェンはブルーに約束し、クレアと共に救出へ向かう。時を同じくしてメイジ―も誘拐される。

一方、サトラー博士(ローラ・ダーン)は、世界各地から恐竜を集めて研究をしているバイオテクノロジー企業バイオシンの調査をしていた。サトラー博士はバイオシンに対してある疑惑を抱いていたのだ。

そこにグラント博士(サム・ニール)も駆けつけ、マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)に協力を求める。3人の博士は協力をしてバイオシンの企みを暴こうとする。

人類と恐竜の共存の前に立ちはだかる、バイオシンの恐るべき計画とはー?

今後、地球を支配するのは人類なのか恐竜なのか。それとも人類と恐竜は、将来、共存することができるのだろうか。

1作目からずーっと感じていたが、これは単に恐竜が大暴れする、というパニック映画ではない。簡単に言えば、遺伝子工学に基づき現代によみがえらせた恐竜たちによって、人間に警告を発する、という内容だ。

どこまで人間は生命を操作して良いものか。

昨今のゲノム編集技術のさらなる進化により、これまで存在しえなかった生き物を誕生させる術までを手に入れた人類。

作品に出てくるブルーは単独で子をもうけている。映画では、ラプトルを作る時、足らない遺伝子の隙間に、あるトカゲの遺伝子を挿入して補ったという解説があったが、それによりメスのブルーは単独で子をつくることができるようになったということだ。ラプトルでできることは当然、マウスなどの実験動物でも可能であり、理論的にはヒトに応用することも可能ということ。

リアルでスリリングな恐竜の描写にばかり、つい気を取られてしまいがちだが、このシリーズの奥には恐るべきスピードで進化し続けている遺伝子工学への警鐘が鳴らされ続けている。