気にならないの? と正子に言われ正夫はお前よりもズ~ッと気になってると言いたかったが、言う事を聞かない山村にも苛立ってたので気にならない振りをしながらビールを一気に飲んだ。 だが辛抱しきれない正子は、私 見てくる!っと言って急いで出て行った。 しばらくして息を切らせて正子は一人で部屋に戻ってきた。
「山村はどうした? 一緒じゃなにのか?」
ハァハァと息を整えながら正子はしゃべった。
「どういう事かしら?ハァ~ 京子さんがここで待ってて欲しいって言ったんだって。ハァ~」
となかなか息が落ち着かない正子は椅子に座ってハァハァとあえいでいた。その姿を見て正夫が言った。
「ちょっとはダイエットしろよ!口ばっかり動かさないで足腰を鍛えろ」
と言われて言い返したかった、声がすぐに出てこなかった。
「まぁいい そんな事より正子、何で山村は自転車置き場なんかで待たされてるんだ?」
と聞かれ、やっと落ち着いた正子はしゃべりだした。
「それがさ~ 今親戚の人が来てるから一号棟の自転車置き場で待ってて言ったんだって、それにひどいのよ。 京子さんが来るといけないから、私にここにいないでくれって言うのよ! 心配して見に行って損しちゃった」
「え~っ 何で自分の住んでる二号棟の自転車置き場じゃなくて一号棟なんだ?」
と言いながら正夫はまたビールを一気に飲んでから、う~んと唸りながら腕組をして、マンションと自転車置き場の位置関係を頭の中で考えた。
「あ~っ そういう事か!いいか正子。二号棟の自転車置き場で待ってると、あの位置からは京子さんの部屋の玄関がまる見えだ。 だがうちの一号棟の自転車置き場からだと玄関は見えない。つまり今部屋に来てるのは親戚の人じゃなく、不倫相手の男って訳だ。許せんな~ あいつもあいつだ。 何で言われると通りりに一号棟の自転車置き場で待ってるんだ、情けない。 正子おれはだんだん腹が立って来たぞ~」
と言いながら正夫はまたビールを立て続けに二~三杯飲んで言った。
「おれ ちょっと山村に不倫相手が来てる事を教えてくるよ。まったく、いいように振り回されて、なんだっら 山村と一緒にあの女の部屋に乗り込んでくるか。 う~ん 悪くないね~」
と腹立ちまぎれにつぎつぎ飲んだビールが回ってきたのか。正夫はふらふらしながら出て行こうとした。
つづく