山村に余計な事を言ってトラブルになるのは良くないと思った正子はあわてて玄関のドアに立ちはだかって出て行こうとする正夫を止めた。
「ダメよ! 酔ってるんだから」
「どけ! 正子。 酔ってない! おれは友達として言ってやらねばならんのだよ」
「いや~ね 酔っ払っちゃって、 いつからあなたもお節介になったの? そうだわ 男も歳を取るとおばさん化するって聞いたことあるけど、酔っ払うとお節介おばさんになるんだわ。 かっこわるい~」
と言われ正夫は怒って言った。
「誰がおばはんだって? バカかおまえは、おれはおっさんだ、おっさんは腹が立つと怒るぞ。黙っていられなくな、そういうもんだ。 どけ!」
とドアの前に立っている正子の腕を掴んで動かそうとしたが酔ってふらついてるので、正子はビクともしない。
「おまえ! また太ったのかぁ~? まるで碾き臼みたいに重いぞ! は~っ 分かったもういい!」
と言って正夫があきらめて部屋に戻りかけたので 正子もホッとしてドアから離れた瞬間に、酔っているとは思えない素早さでドアを開けて出て行きながら言った。
「おっさんはそう簡単にはあきらめない。 はっはっはっはっ」
と言ってふらふらしながら階段を下りて行ったので、もう正子は追いかける気も起きずに正夫の後姿に向って言った。
「フン! 知~らない! 勝手にすれば! あなたの友達だもの私には関係ないわ!」
と捨て台詞を吐いて部屋に戻った正子は椅子に座り
「こ~なったらわたしもトコトン飲んでやる!」
と言って、やけになった正子はビールを飲みはじめた。缶ビール二本もあれば十分に出来あがってしまう正子はすで二本目をクリアーして、三本目を飲みはじめていた。そしてなかなか帰って来ない正夫に一人ぶつぶつと文句をたれていた。 そのうちに
「なんで人の事でうちがもめるの?変じゃない?お節介おばはんが二人もいるうちなんてめったにないよ! はっはっはっはっはっ 正夫!バッカッ はっはっはっはっ えっ?亭主がおばはん? はっはっはっはっはっ」
と すっかり酔った正子は、面白くもないことを言っては、一人 机を叩いて笑っていた。
つづく