座り込んだままの正夫に山村は手を貸して立たせてやると、ニッと笑って言った。
「それじゃ正木 その 深~い 訳っていうのを聞きたいもんだね~ ねぇ~ 京子さん」
と京子さんの顔を見ながらおもしろがって山村が言った。
「いや~っ なんと言うか。 お前たち結婚するのか?」
と酔って回らない頭で言い訳が思いつかず正夫は軽く言ってしまった。 言った後で正夫は自分でも驚いた、が突然の言葉に二人の方がもっと驚いた。そしてみるみる山村の顔が怒りに満ちていた。
(あ~っ しまった。プロポーズの言葉をいろいろ考えていただろうに、余計な事を言って、すまん山村)
と思いながら正夫は頭に手をやってうつむいた。
(お前は最悪の友達だな。もしこれで京子さんとの仲が壊れたらおれは絶対におまえを許さないからな!)
と思いつつ山村は正夫を睨みつけた。そして恐る恐る京子さんの反応を横目でチラリと見ると、なんと京子さんはニッコリと笑顔で正夫を見ていたのでホットして山村は言った。
「結婚の話はまだ早いですよね~」
と様子をうかがいながら言う山村に笑顔を崩さず京子は言った。
「う~ん そうですね~ まだ知りあってそんなに経ってないですから、結婚ていうのはまだちょっと早いんじゃないですか。 ねぇ」
と言って山村の顔を見たので山村はこれはいけると確信が持てたたので、嬉しくなって、あわててどもりながら言った。
「そっ そっ そうです。そっ そうですよ。 ねぇ~ 」
と言った後、さっきの怒りが嘘のように消えて山村はニコニコしながら正夫にやさしく言った。
「正木 お前は酔ってるんだか、早く家に帰れ!」
と言うと京子さんも続けて言った。
「それじゃ 山村さん私も帰ります。今日は親戚のおじさんが泊まるので、準備がありますから。 正木さんを部屋まで送って差し上げたらいいんじゃないですか?」
「えっ え~っ そうですか~ 分かりました。じゃ また明日電話しますね!」
と言って、残念そうに山村は京子さんを見送った。そして振り向いた山村は今まで見たことのないほど嬉しさに崩れていた。 そして正夫に言った。
「正木 行こう! お前の家で祝杯だ! あっ ケ~キ ベンチに置いたまま渡すのを忘れたよ」
と言ったので正夫は面倒くさそうに言った。
「もういいんじゃないか。 みんなで食おう!今日はおまえのおかげでなんだか疲れちゃったよ、早く肩 貸せ。 ふらふふらだ!」
つづく