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幸波って何?

正夫と正子の お馬鹿な夫婦の会話集
竹夫と梅子の おせっかい夫婦の会話集

新婚旅行から帰った山村と京子さんは一番に正木家を訪ねた。 楽しい旅行の話と御土産を渡し母親を預かってくれたことに感謝した。 正子は軽く引き受けたもののさすがに疲れて、一週間はとって長く帰って来る日を痴呆のおばあさんと一緒に指折り数えて待っていた。

おばあさんは余程寂しかったのか京子の顔を見るなりしばらく涙が止まらないようだった。

「奥さん。 ありがとうございました。 お疲れになったでしょ」

「いえいえ それより バリ島はどうでした? いいな~ 私なんて旅行らしい旅行は行ったことがないんですよ。 うちには介護の必要な人もいないし、行こうと思えばいつでも行けるのに、なぜか行ったことがないのよ。 寂しいな~」

と正夫の顔を見ながら言った。 それを見て山村が同情的な顔で何か言いかけたのであわてて正夫が言った。

「山村 気にするな! それより旅行中にケンカなんかしなかったか? 」

「それが 一度やっちゃったんですよね~」

と京子さんが小さな声で答えて言った。

「えっ 何 何 何でケンカしたの?」

と正子が必死に聞いたので、また正夫がうるさそうに遮って言った。

「バカだな~ 正子、そんなこと聞いて何になる。 それじゃおれからおまえたちに、先輩夫婦としてケンカをせずに仲良く暮らせる方法を教えておこう」

と言ったとたんに正子が大笑いして言った。

「も~ ケンカをしない?はっはっはっはっ 私たちが? よく言うわ~ 毎日ケンカばっかりしてるじゃない、何のアドバイスよ」

と言ったが正夫は軽く無視して言った。

「いいか 山村 ここだ! 男と女は一緒に暮らしていても、所詮同じ位置には立ってない。 女は今を見てる。男は明日を見てるんだよ。 そして女は自分の生活や身の回りに豊かさや夢を見る。だが男は自分の中に夢とロマンを持っている。 なっそうだろ。 だから仲良くやっていくためには出来るだけ多くの会話を必要とするんだよ。 おれはこいつと一度もケンカをした事がないと思っている。だがこいつは毎日ケンカをしていると言う。 ここだ、 山村!男と女は同じ人間のようだけど実は別の生き物なんだよ。だが幸いなことに言葉は通じるようだからしっかりコミュニケーションを取る事だな。 分かるか?」

「さぁ~ どういう事だ? つまり会話がいるって事か?」

「そうだ!そういう事だ! いくら疲れていても、いくらくだらない話でも、いかにも楽しというように聞く。ちょっと難しいぞ! だがそれが出来ない時は相づちだけでもいいんだよ。 そうしたら勝手にしゃべってるからな。これが秘訣だ。 まぁがんばれ!」

「いや~ね~ 偉そうに言っちゃって。 まぁ でも会話は必要よ。 でもね京子さん必ず勝つようにね。男は明日を見てるって言ったでしょ だから今が見えてないって事よ。 地に足がついてるのは女なのよ!」

と新婚旅行から疲れて帰って来た山村と京子さんをはさんで、正夫と正子の夫婦の会話はなかなか終わらなかった。

 正夫の今日の一句

男と女 どこまでいっても 分からない 分からないから 面白い

                                           終わり

 一年と二か月 毎日 読んでくださって、ありがとうございました。

正夫と正子のおバカの夫婦の会話集は今日で終わらせていただきます。

また今度は新しいおバカの夫婦が登場するお話を7月より始める予定にしております。その時にはぜひ

また読んでくださいね。

                                  まるいひろ