ある所に、とある母子が、おりました。

子はまだ幼く、しかも身体の弱い男の子でした。


母はそんな我が子を、いつも心配し、熱を出せば付きっきりで、オデコを冷やし、せきが止まらなぬ日
は、ずっと背中をさすってあげました。


あまりにも身体の弱い幼子に、心を痛めた母は、丈夫に産んであげられなかった己を悔いました。

そして、こんな弱い身体では、この子は決して長生きはできぬまい、と母は悲しんでおりました。





だから、神様にお願いしました。



「神様、どうか息子を健康な子にして下さい。

もし、それが駄目なら丈夫な身体を持った私の運命と、取り替えてやって下さい。」
と。


常日頃、献身的な母を見ていた神様は、母の願い事を叶えてあげることにしました。






それから、三日後、


幼子は突然、亡くなりました。



そう、健康な母だけど短命な運命を持っていたのです。


そして、母は弱い身体で、それからもずーぅとずーぅとと、長生きをしたそうな。



事故後、読んだ何かの本に書いてありました。

強烈に、覚えていた昔話です。