ふと、横のソファーに座っている息子をみたら、軽く口を開け静かな寝息を立てていた。

夕食を終え、夫とお風呂にも入り、寛いだのだろう。

私は、静かにその横顔を見ていた。
ずーと見ていた。

途端に、高校生だった息子にタイムトリップした。

バスケ部でくたくたになり帰宅後、いつもこうやってうたた寝をしていた息子。


一瞬、何も変わっていない様な、不思議な錯覚に襲われ、今がいつでここがどこで私は誰で息子は幾つで


訳が判らなくなり、私の回りの時間だけが止まった。

ずーっと、止まったままで居たかった。

目が、覚めたら知らない息子なのだから。

恐ろしい現実だけなのだから。