幼稚園の頃、父と一緒に遊びに行った公園の大きな肌色の石の(昭和の頃に造られた公園によくあった、表面が剥けると、中は不透明な樹脂みたいになってる…あれ何ていうんだろう?)すべり台の上で、30円をみつけ、交番に届けた事がある。
私が記憶してるのは、肌色の石のすべり台に乗っている10円が3枚乗っている場面と、
お巡りさんに、名前を言い、子供の頃の自分が見上げている、その山の様に大きなお巡りさんが「はい、ありがとう」と50円を手のひらに乗せてくれた所まで。
成長して、『遺失物法』なるものがある事を知った時、
…あれ?
じゃあ、あの50円って…何でもらえたんだろ?(´°ω°`)
後で、父に確認した所、
幼稚園になる娘が、30円を見つけてしまった以上、親としては、拾ったものは交番に届けるという体験をさせてやらねばと。
届けに行ったら、まぁ子供なので、お巡りさんは自分の判断で、50円をくれたそうだ。
その後、その50円をどうしたかは、父も覚えていないそう
…ありがとう、山の様に大きなお巡りさん。
でも、もしかしたら、あの公園には、後から気づいて、30円を探し回っていた人がいたかもしれない。
…ありがとう、落とし主さん。幼稚園の私が、交番へお金を届けるという経験を得る為に、あなたの30円使わせていただきました。
そして時は流れ、私は薄闇の住宅街を歩いていた。
その足元の先に、千円札が1枚、2枚、3枚と、ふわふわと風に揺れながら落ちていた。
(=゚ω゚)!!
何で、お金だけ…?しかも三枚も…。
一応、千円札を1枚ずつ拾い、その3000円の落とし主らしき人が辺りにいないか、周りを確認。
でも、いるのは、自分にお尻を向け、箒で家の前を掃除しているおばさんだけ。
この人が3000円を落としたんじゃないとは思うけど、
でも、こんな住宅街で、千円札を握りしめている不自然さを、このおばさんに見られる前に、とりあえず自分から声をかけてみた。
声をかけた所で、おばさんも困るだろうけど。
「男の人とか、後ろのポケットに直接お金入れちゃったりするから、それで気づかないまま落としちゃったんじゃない?」
…思いつかなかった。そこまで。。やっぱり聞いてよかった。
「もらっちゃえば?」
と、おばさんに笑って言われながら、思い出していた。あの公園で30円を見つけ、山の様に大きなお巡りさんから50円をもらった遠い日の記憶を。
昔30円、今3000円…
さあ、お前はどうする?
「た、試されている…⁉︎(;=゚ω゚)」
お礼を言い、来た道を戻り、駅前の交番へ。
交番で事情を聞いてくれた警察官の私を見る表情で、
(え?いい大人が、3000円ごときで交番に…)
そう思われている様な気がした。何となく。読み取った!!
でも、私は試されているので…!!
届けられた以上は、警察官としては手続きをするしかない。
一軒一軒、世帯主者氏名が記載された住宅地図を指差しながら、千円札3枚がフワフワと落ちていた場所を「ここの辺りに…」と説明する私。何となく、ハイハイ的な感じで淡々と手続きをする警察官。
ごめんなさい。忙しいでしょうけど、昔30円、今日0が2つも増えて3000円拾ってしまったので!!
試されているので!!何かに!!何かはわからないけど!!!
「まぁ、持ち主は見つからないと思うんで、落とし主不明の場合は受け取っときますよね」
と、淡々と警察官は手続きをしてくれた。淡々と。
…そして、昔、父が《拾ったお金を交番に届ける》という体験をさせてくれたので、
大人になった娘は、3000円を届け、
その後、3000円は私のお財布へ。
土曜日からずっと、故・立川談志師匠ボイスだった私、今日は、はるな愛ボイスまで回復。