カミツレ。 | hirokoーcloud9

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雑記・雑想・雑念

リクルートスーツ、羽織袴、スーツケースを引いた人。
新年度前の3月の風景。

前にいた会社付近を歩くと、ちょっと胸がキュッとする。
他人と比べた、自分の長所短所。
一生の友達との出会い、色々なタイプの人間、色々な生き方や生活があるんだと知った事。
振り返ると、いい経験になったな。
もっと頑張れたかな、と思う事も。

そこは4人しかいない部署だった。
10人程いる隣の部署も、大まかには同じグループではあったが、業務を一緒に行う事はあまりなかった。
「ここだけ少ないんですね」
「少数精鋭なんです」
精鋭?私、精鋭じゃない。雰囲気的にどう見ても私が一番頼りなさ気((((;´・ω・`))

内訳を異名とキーワードで表すと、
ご隠居顧問:おおらか、清貧生活主義(でも良いお家)、ドイツ文学好き、クリスチャン、時に博愛・時に厳格

スマート部長:子供なし・仲良し夫婦で素敵生活、仕事はスマート&クレバーに、三連休でも気軽に海外、俺は不良、趣味はヨット(複数でシェア)、ワイン好き、欧米サイコー、湘南サイコー

左うちわさん:1児のパパ、マイホーム計画中、日本酒好き、左うちわ生活実現を公言

同じ仕事をしてるのに、ほぼ共通点のない人達だった。
でも、個性は違えど、知識も知恵もあり、それぞれ仕事もできる人達だった。
(顧問はアドバイザー的役割で、業務にはほぼ関わらず、おしゃべり、たまに居眠り)

とにかく言われた事は、ちゃんとやろうと必死だった。
仕事的には、すぐに結果が出るようなものでも、毎月目標実績などがあるわけでもなかったのだけど、スマート部長が\常に最高を上書きする/系の人で、仕事のやり方に色々な拘りがあった。
左うちわさんは、スマート部長の指示が出るまでは、ほぼ動かないが仕事はできた。
家の新築計画に夢中で、たまに競売物件サイト等を見ていた。
顧問とは、仕事以外のおしゃべりばかりで、イタリアで美女にぼったくられた話や、孫に食事用椅子を作ったら設計ミスで孫が落下した話などして、いつも笑わせてくれて楽しかった。
最初は気を紛らわせてくれてるのかと思ってたけど、切羽詰まってる時もマイペースに話しかけてきて、単におしゃべりが好きな人だった。

スマート部長は、普段私などが行かないようなお店にランチに連れてってくれたけど、時々迷惑だった。「資料配布しに外出ついでにヒルズで寿司、でも混むから11:30着予定で」
ヒルズで寿司などいいから、ゆっくり作業したい。゚(゚^ω^゚)゚。
「できるでしょ?」と言われれば、やらない訳にはいかなかった。
今の自分なら、「いや無理なんで(笑)、ランチ結構なんで現地で落ち合いましょう」
と、柔軟に言えたかも。
でも、あの頃は やらなきゃ と、必死だった。
スマート部長に嫌がらせされてるのかなーと疑うくらい振り回された事もあったけど、気遣ってくれる時もあり、食事会や飲み会などは本当に楽しかった。

女子一人なのは、自分の部署のみで、複数でランチに行ったり、お弁当食べてる人達が羨ましかった。
加わる事もあったけど、作業の流れでタイミングは合いにくかった。
よく顔を出しては、スマート部長とおしゃべりする女性がいて、人に聞いた話だと、(あの子だけ色々連れてってもらってズルい)発言をしていたそうだ。
ここがいいなら替わってほしいくらいだった。

スマート部長は、何年かに一度、海外出張する事もあるが、特に英語力は必要ないと聞いていた。
ある日、スマート部長が国内出張中、外国人からスマート部長宛に電話がかかってきた。
幸い、外国人の名前が簡単だったのと、スマート部長の名前だけ聞き取れた。
パニックになりながら、
「あいむあふれいど、ひーずおん、びじねすとりっぷ、あんてぃるちゅーずでー:(´◦ω◦`):」
通じたのか全然わからなかったし、先の会話はできない:(´◦ω◦`):
英語ができないとわかったのか、「Oh!OK,Thank you」で終わった。
後日、報告するとメールも来てるし、プライベート付き合いの人だから大丈夫と言われた。
よかったと安心してたけど、後で人に、「自分の携帯教えればいいのに、皆の前で英語が喋りたかったんじゃない?(笑)」
とこっそり言われ、スマート部長はやりそう…と疑心暗鬼に。
でも、使わなくても英語はちょっとできた方がいいのかなとも思った。

ズルい発言の女性も、流れでスマート部長に仕事を頼まれた事があったが、厄介そうだとわかったのか、顔を出す頻度が少なくなった。
他の部署の人達も、食事や飲みは盛り上がって行くけど、私でもできそうな内容の時に手伝い、本当に助けてほしいような仕事だと断りに来る。
もしかして、スマート部長って、少し周囲から敬遠されてる?と思うようになった頃、
雑談で音楽の話をしてたら、「バッハはジャズだ」
と、以前付き合ってた人と同じ言葉を!!((((;゚Д゚)))
後でこっそりバッハ ジャズと、検索したら、何だかそれっぽい本や言葉が。
あいつ、ただの本の受け売りだったのか!( º言º )スマート部長もか!( º言º )
いつも同じようなタイプに振り回されてる因縁めいたものを感じた。

よく気遣ってくれたり、こっそり手伝ってくれていたフンワリちゃんと、帰りにご飯行く事に。
それがきっかけで、会社帰りや休みの日も会うようになり、今でも仲の良い友達になった。
自分の未熟さにがっかりしながらの忙しい日々も、フンワリちゃんの存在に救われていた。

ある6月、うちの部署に、"天から舞い降りた方"が、加わった。
颯爽としたお殿様のような雰囲気の人だった。
ほぼ毎日、知人に電話、時々手土産持参で色々な人が挨拶に来る。一見、怖そうな人だったが、雑務を頼まれながら、海外赴任時代の話、趣味の話、意外にも奥様と手作りした可愛い小物など頂いた。
世論と同じそんな風習は良くない派だったが、直接関わりを持つと複雑な気持ちになった。でも、外の人に世論に批判される人側の人間と思われるんじゃないかと怖かった。

別部署のあっけらかんとした、面白い女性が、産休に。
「ちょっと聞いてよ!(´□`。)」
と、普段、人の悪口や批判をしないフンワリちゃん。
産休の女性が引き出しに放置してた資料のせいで、重要な仕事がポシャり、利益損害を理由に何らかの処分を考えていた矢先の産休だったそうだ。
処分どころか祝福されながら、そんな事を微塵も感じさせないで挨拶していった明るさに見直すべきポジティブさもあるんじゃないかとか、私が試されてるような気持ちで仕事しているのに、そんな事して許されてる人もいるのかとグッタリした。

元々採用も少なく、集中してくる大小の仕事に追われながら、別部署からスマート部長の補佐としてくどかん風味の課長が異動。何でも自分で動き、たまに仕事も手伝ってくれた。「ここにくるとは…」と苦笑いしたり、時々来るくどかんさんの前の部署の人達の態度で、やはり何となく敬遠されてる部署なんだなと感じた。
人の目を見て話さないが、人当たり良く、同居のウマが合わない義母との話を、冗談めかして「クソババァが」と話すのが面白かった。
ある時、「意外に子供っぽい字書くんだね」と言われ、ホントは幼稚で、大人な振る舞いをしてるというのを見透かされたような気もした。
今思えば、背伸びせずに自然に振る舞う事が最初からできてたらよかった。

ある日、データをエクスポートしに別部署に。
アニメグッズのあるユルい雰囲気がホッとする空間だった。
いつも、ゆったりマイペースに仕事している女性がお茶入れてくれたり話してくれた。
「結構忙しいんですか?」と聞かれ、
「いやー自分だけがワタワタしちゃって」笑いながらも、卑屈になりがちな仕様になってた。
「いやいや、○○さんはステキな人です」
その人は気遣いで、そう言ってくれたのかもしれなかったけど、その言葉で悲しさと孤独感がジワジワとこみ上げ、帰宅途中に泣いてしまった。
皆、知らない所で噂したり、話のタネにしてるのかもしれない。
自分も昼休みに人の噂話に加わった事もあったから。

ドラマや漫画世界と違い、現実世界はハッキリ良い人悪い人と決めつけられない。巡り合わせや立場で、良い人になったり利己的になったりもする。
服装髪型決めるのも、大人っぽく見られる事が選択基準になり、働く持続力の理由付けと一人暮らしも始めてた。
表面上は、和気あいあいと笑顔で本音と建前の関係性。皆、自分の立場や面目は守りたい。内心、人のちょっとした言葉や行動で疑心暗鬼になりすぎて、自分がどうすればいいのかわからなくなっていた。他人の思惑の犠牲になってるような気すらしていた。
スマート部長が留め置きを人事に要求したのも人格や能力評価でもなく、他の子達に嫌われたくないだけで、都合良く使われてるんだと懐疑心でいっぱいだった。
できない自分が、他の子達以上に要求され、甘えもあったが頑張って成した事も褒められず、当たり前の様に流され、何で私だけがと色々な想いが一気に吹き出した。、
好意を持たれた事や、付き合う可能性のある人もいたけれど、疲労感と一度だけの上手くいかなかった強烈な経験でそんな気持ちになれなかった。
デキる人達の中で、要領の悪い自分が悔しかった。最初から自分には分不相応な場所だったんだ。

そして、フンワリちゃんが結婚して退職した。
フンワリちゃんには言えなかったが、そのダメージは大きかった。

4年毎に発行される、部署の代表的な成果品が発行される年になった。
自分がいたほぼ同じ年数のデータ量がまとまったもの。
(これが発行されたら、辞めよう)
疲れて、意気消沈しきっていた。

くどかんさん異動の半年後、異動してた左うちわさんのお家は無事に建ち、その間に得た知識と資格で不動産会社に転職する事になったと聞き、笑ってしまった。ちゃっかりデキすぎてすごい!
「時間と経験は無駄にしない主義っす(^_^)」
お前ーー!!とかよく言われてたけど、そのスキルの高さとマイペースさが羨ましく、こういう人がよかったなと思った。
少しの事でいっぱいいっぱいで不器用な自分。

具体的に辞めたいと思う様になり、頑張ってきた自分がもったいないとか、
内心イライラもしたけど、何だかんだここの人達は嫌いじゃないとか、
左うちわさん→くどかんさんの異動も見守ってる人達がいてこそだったかもしれないとか色々、考えたけれど、どうしても続けるという選択まで辿り着かなかった。

辞める時に、今まで話した事のない人達も声かけてくれた。
ズルい発言の子は、売り物にできるくらいクオリティの高い手作りケーキをプレゼントしてくれた。
帰ってきた産休さんは、「ほらー私もできいからさー」と見たこともない少し視線落とした表情で、他人に見せないだけで悩んだり、泣いたりしてるのかもと思った。でも反省の態度や落ち込みを周りにわかりやすく示した方がいい場合もあるなとも思った。
押し強めのバツイチでお子さんのいる三十代後半の女性が、人事部に合コンセッティング依頼をした事があり、皆と一緒にえーーっとも思ったが、その人もお子さん育てて将来が不安で、勇気出しての事かもしれないとか、
辞める時になって、色々な人がその人なりにそれぞれの思いで生きてるんだなぁと思ったりした。
スマート部長は、あまりにも口数が少なすぎて、かえって罪悪感で申し訳ない気持ちだったが、最後にさっぱり挨拶してくれた。

疑心暗鬼になりすぎず、人の言葉を素直に受け止められてたら、もっと上手くやれたかなとも思う。
色々な見方や考え方、自信持つこと、もっと視野を広げれば更なる気づきもあったかもと思った。


新しい職場では、経験が物をいい、デジャヴかと思うくらい仕事がスムーズに。
あまり人と関わらず無理な愛想笑いもせず、ひっそりいたいと思っていたが、新参者なのに可愛げがないと思う人もいて((((;゚Д゚)))))))、自分から色々聞くようにした。
不器用さは、変わらない。

ある日、ドンッと机に名刺が置かれた。
見た事のない社名、見覚えのある名前。
見上げると、お殿様がキリリと見下ろしてらっしゃった(;゚Д゚)
新しい職場にも"天から舞い降りた方"がいらっしゃり、パイセンハイコーの関係だった。同じ業種とはいえ、こんな事が!
「この人なら安心だから」
と、一言で思いっきりハードルを上げ、颯爽と去っていった。
((((;゚Д゚)))))))
あーゆー人達の悪びれなさって。。。

セキラーラに書きすぎて、アイツじゃね⁉︎との恐怖もあるけど、いいや。。

そんな追想を長々としてしまったのは、3月の風景の中で、この曲を聴いたからかも。
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