WWF顧問のお仕事で佐賀県佐賀市東与賀町に行ってまいりました。

訪れた6月下旬は田植え作業がピークを迎え、農家の皆さん忙しく作業されていました。

 

 

田んぼの広さに圧倒されるとともに、降り立つサギの美しい姿にも感動。農家さんによると、稲を踏んでしまうので、困った点もあるそうですが・・・。

東与賀町には、単一としては国内有数の規模を誇る干潟があり、オーストラリアからシベリアを繋ぐルートに位置することから多くの渡り鳥が訪れる場所なのだそうです。6月下旬は渡り鳥の少ない期間ですが、双眼鏡で干潟の遠くを眺めると、シギらしき姿も見られました。ムツゴロウが飛び跳ねる様子も初めてお見受けし、なんとも微笑ましい光景でした。地元の子供たちに聞くと、ムツゴロウが給食に出ることもあるとか。食べられるのか~!!

 

今回の取材は、東与賀町に生息する貴重な淡水魚を「環境DNA分析」で調査するというものでした。「環境DNA」とは、「土壌や水などのさまざまな環境から採取される生物由来のDNA」のことで、これを分析することによって、どんな生き物がいるかどうかを調査できるとのことです。難しく聞こえますが、作業としては田んぼのあぜ道で水を汲んだものを機器分析するという工程。暑さの中、ややぬかるんだ田んぼのあぜ道を歩きながら地元の子供たちが水を採取しました。研究者の先生たちが行ってしまえば時間も短く済む作業ですが、レクチャーしながら子供たちがやることに意味があると、地元の皆さんは考えているようです。東与賀で生まれ育った子供たちにとってそんなに貴重な生き物がいるなんて、思いもしないでしょう。必ずや自分たちの目で見て触れて作業したことは、大人になってからも貴重な体験として残るであろうと感じました。

 

 

東与賀町の田んぼを囲む周辺は、コンクリートで整備されずに敢えて自然の状態を残しています。水田と水路の境界が大事とのことで、そこにたくさんの生き物が生息する場所が作られるのだそうです。九州大学の先生方による生き物観察会の時間では出てくる出てくる、魚にカエルに幼虫に・・・。

 

 

私自身も子供の頃に田んぼのあぜ道では生き物観察することが大好きだったので、なんとも興奮しました!

 

自然を後世に残す、保全する、言うのは簡単ですが、容易ではありません。

効率性や景観等を重視すると、コンクリートで整備した方がスムーズに進むことも多くあると思いますが、手間をかけても生物を保全し共存しながら暮らすということ。東与賀の田んぼには大事なことが凝縮されている気がしました。

東与賀のような取り組みが日本中に広がっていくと良いなと感じました。

 

語り尽くせない東与賀町の魅力や農業、生物多様性のお話まで、たっぷりオンラインイベントでお話することが決まりました

9月9(土)10時~の予定です。親子で聞いていただきたい内容でもあるので、詳細については追ってお伝えします!