あるメーカーの経営幹部研修をすることになった。研修会社のマネジャーは開口一番こういうのだ。「高橋さん、日本企業はこのままだとまずいんじゃないでしょうか」と。


そのメーカーは欧米企業に買収され、トップにコンサルタント出身らしき外国人が赴任してきたそうだ。その社長は、そのメーカーに経営者育成制度(欧米流にいうと、サクセッションマネジメントシステムという。欧米の多国籍企業のほとんどはしっかりした制度を持っている。)がないことに驚き、役員の人たちの経営能力が心配になって、研修の依頼が来たとのことだ。独立以来、この手の研修を10数社お手伝いしてきているが、ほとんどの場合、MBAのコアの科目をそれぞれ2日位、その後戦略課題のワークショップを2-3週間かけて行うといったものだ。こういった付焼刃的な研修で経営力が養成できるとはだれも信じないだろう。


日本の大手企業でサクセッションマネジメントシステムを持っている会社はまだ少ないと思われる。前職、コーポレートエグゼクティブボード(CEB)で開催したワークショップの中で最も関心が高かった一つが、サクセッションマネジメントのベストプラクティス(特に、IBMとシュルンベルジェ)であった。そして、オンサイトの要望も非常に多かった。何しろ、サクセッションマネジメントという考え方とか仕組みを始めて聞いたクライアントも多かったのだ。


日本の経営学者もだいぶ以前から日本企業の経営幹部の経営リタラシー不足を心配している。グローバリゼーションが求められる昨今、日本企業もサクセッションマネジメントシステムについて真剣に考えるときに来ているのではないか。


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昨日の授業終了時、こんな質問があった。A社とB社のトップ同士がある業務を提携してやることにすでに合意している。A社サイドの現場はやる気満々なのだが、B社の現場はどうもやりたくない雰囲気なのだ。A社サイドの現場責任者としてのあなたはどうするか。


こういう問題はこれから良く出てくるだろう。というのも、今や日本企業は協力し合ってグローバルな競争に戦っていく必要があるからだ。あるいは、日本市場のパイが縮小しつつあるため、大企業に対抗するために、中小企業が連携するという状況も出てくる。


A社の現場責任者としてはまずB社の現場と話をさせてもらう、というより話を聞く必要がある。まず、B社の現場サイドはトップから押し付けられたという、やらされ感があるかもしれない。また、B社の現場サイドはコアの事業で手いっぱいで、それ以外に業務を増やすことに気乗りしないのかもしれない。ただ、言えることは、B社のネガティブな感情をポジティブに、あるいは少なくともニュートラルに持っていくためには、説得する、というのではなく、対話するという姿勢が大切だ。その結果、上手く行くかどうかの保証はないが、話をしっかり聞くことで、お互いの間に少しずつ信頼関係を醸成していくことができる。


交渉者の感情の源泉となる社会的欲求の中で相手の四つの欲求、すなわち、つながり、自律性、ステータス(立場)、役割を尊重することで、良好な関係性も構築できるかもしれないのだ。


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今日は経営戦略の講義の初日だった。戦略そのものだけでなく、その実行も同じくらい大切だという話をした。そしてそのための組織デザインの話も。この議論は戦略とその実行を分けて考えているが、そもそも戦略代替案をどう選ぶかという話も重要だ。ところが、戦略に関して書かれた書籍はいろいろあるものの、戦略代替案を検討する際に考慮すべき判断基準について書かれたものは意外に少ない。仮に書かれていても、私として納得のいくものはこれまでお目にかかったことがないのだ。


どういうことか。 判断基準としてざっくり言うならば、3つのフレームで考えるべきだということを言っている。それは、その代替案を、1.やってみたいか、2.やるべきか、3.やれるか というフレームである。(もちろん、それぞれのフレームはチャンクダウンしてより具体的な基準にする必要はある。)ここで、大切なのは3つのフレームの使い方として、上記の順番で考えることだ。


関係者の間でやってみたいという意欲があるなら、やれることも自然と膨らんでくる。戦略といったって所詮は人が実行することであり、データや情報の認識次第だからだ。そこに純粋な客観性等というものはない。関係者の多くがやってみたいことであれば、夢や希望が膨らみ、そこに生まれるポジティブなエネルギーが戦略の実現可能性を高めることになるのだ。


 優れた事業責任者はこのことをよくわかっていると思うが、どうだろうか。


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私は英国国立ウェールズ大学大学院MBAプログラムの講師として経営戦略や戦略マネジメントを教えている。明日は、経営戦略の一日目なのでその準備をしていたのだが、ふと思いついたことがある。自己紹介をするのだが、前職はコーポレートエグゼクティブボード(略称:CEB)という会員制のマネジメントシンクタンクの日本の代表をしていた。それは、日本の大手企業の経営企画担当の役員の方にお集まりいただき、グローバルベストプラクティスをご紹介して、それについてディスカッションしていただくという仕事であった。


CEBではIBMのベストプラクティスに関するレポートも豊富に抱えていたが、好評であったレポートの中で戦略の実行能力の開発というものがあった。詳細についてはここで明かすわけにはいかないが、確か2001年のガースナーの言葉の引用で、「新しいIBMにおいては、戦略の実行能力は戦略そのものと同様に重要である」という言葉があった。 


実際、IBMにおいては、ゲイリーハメルをアドバイザーに迎え、戦略の開発に関する手法を見直していた。そして、何よりも重要なのは、戦略の実行についても、戦略の開発と同じ比重で、手法を見直していたことである。具体的には、タシュマンとオライリーをアドバイザーに迎え、戦略実行に当たっての四つの要素、すなわち、組織構造、組織文化、重要な業務と業務プロセス、そして人材とそのスキルについて、其の整合性とともに検討していたのである。ひとことでいえば、組織デザインを本格的に考えているということだ。


ところで、日本企業でこれほどまでに組織デザインについて考えているところはあるだろうか。組織図だけとは言わないが、7Sのフレームワークでロジカルにチャンクダウンしただけのものになっていないだろうか。リーダーシップは盛んにうたわれるが、戦略を実行していくのは、組織のメンバーだけではない。戦略を実行していくには、人だけでなく、いや、人よりもむしろ組織を構成している他の要素が重要である。なぜなら、組織構造、組織文化、業務プロセスなどは、企業が歴史的に蓄積してきた慣性を引きづっていて、きちんと検討し、計画しなければ容易には変更できないものだからだ。


今後、日本企業がグローバルな舞台で欧米の多国籍企業と戦っていくためには、複雑系たる組織のデザインについて専門家を必要とすることになるだろう。


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ハーマンモデルの4つの象限で「新参者・・・赤い指」を分析してみると、他の刑事ものと比べて、はるかに広い範囲で視聴者に訴えるものを持っているということがわかる。ただし、新参者の魅力はそれだけではない。


ハーマンモデルは便宜上4つに区分しているが、人間の脳の機能の中で最も重要な機能をなぜかカバーしていない。それは、前頭葉にある意識連合思考野(CAT:Conscious Associational Thinking area)と呼ばれる部分の機能である。CATは、すべての神経活動をコントロールする力をもっており、脳の両半球の情報を統合し、問題解決に向けて新しい方法を生み出す機能があるのだ。ただし、実際に意識の中で力をもつのは5%にも満たないとされる。CATを活性化するには選ぶことを選ぶ必要があるのだ。これは神経学的な現実である。


加賀刑事は、刑事の使命として独特の哲学をもっている。それは、刑事の使命とは事実を明らかにするだけではなく、関係者の苦悩を解放することにあるというものだ。ここまで明確で、人間愛に満ちた、確固たる想いがこれまでの刑事もので見られただろうか。加賀刑事のこの強い意思は、彼の生き方に関する一つの選択であり、その選択は彼のCATをして事件への洞察を並々ならぬレベルまで深めているといえるだろう。


その洞察の原点は何か。それは、新参者の著者が意識しているかどうかは分からないが、おそらく日本人の親子、それも母と息子との関係性にその元型(本能的行動パターン)を見出しているものと思われる。もっといえば、もとはひとつであった身体的関係性と情緒的関係性という二つの関係性が、なにかの事象により、あるいは時を経て失われても、母と息子のそれらの関係性にはその親密性・一体性を取り戻そうとする力が必ず働くといった、人の魂に関わる洞察が加賀刑事に頭の中にあるような気がするのだ。つまり、加賀刑事の洞察がすべての人に訴えるところがあるのは、我々の魂の中にある、共通の琴線にふれるからだと思う。


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