事業戦略とリーダーシップは通常別々に議論されていますが、これは分けて考えてはあまり意味のない話です。なぜなら、事業戦略を自ら立案するかは別として、実行していくのは通常リーダーだからです。こんなことはいわれなくても分かっているという向きもあるでしょうが、現実にはセットで考えられていないことがほとんどのように思います。このことが最近非常に気になっているのですが、皆さんの会社ではどうでしょうか。
さて、リーダーを育成するということで、その候補者の選別には通常必要なコンピテンシーモデルをベースにアセスメントをするというのがよくある考え方です。ただ、ここには大きな落とし穴があります。というのも、定義されたコンピテンシーとはリーダーになった時点で必要なものであり、様々な経験を経てはぐくまれる最終形にほかなりません。その最終形で潜在能力の高い人を選抜するとなると、ほとんど見つからない、あるいは、将来その形に育つ人を排除してしまうということになってしまうのです。
ここで、リーダーとなるのに必要な潜在能力とは何かといえば、これは「経験から学習する能力」に尽きるということが、世界的に、アカデミックにも、実務的にも明確になっています。もちろんそれには個人差があります。そこで、学習能力が高く、成長の早い人を早期に見つけだすということが大切です。
この点についての詳細は別に譲るとして、リーダー育成はどう考えたらいいのでしょうか。つまり、どんな経験を与えればよいのでしょうか。もちろん、事業戦略と照らし合わせる必要があります。事業をどのように展開していくのか、その具体的なイメージを想起し、そこで起こることに対処できるような経験をリーダー候補に与えていくのです。これまで戦略立案、組織設計、人材育成制度構築、経営人材育成研修の支援を通じて、気づいたことですが、どの場合でも共通に言えることがあります。それは、以下の質問に答えていくことです。
1.明確な事業戦略があるか 2、戦略上重要な課題を認識しているか
3.現在のリーダーはその課題に上手く対応しているか
4.社内で得られる経験は、上記課題に対応できるようにリーダー候補者に提供できるか、
5.潜在能力の高いリーダーを認識できているか
6.潜在能力の高い人材に経験を与えるような制度(後継者育成制度)があるか
7.それらの経験からの学習をさらに高めるようなしくみがあるか
上記の2,3,4については人事の視点や経験だけでは難しいものがあると言えるでしょう。事業戦略とリーダーシップはやはりセットで考える必要があるのです。