駐在族の挑戦:日本の小学校から香港インター校への転校記


突然の転校通知


茨城県の公立小学校に通っていた健太君(仮名)は、父親の突然の香港駐在が決まった時、小学5年生の1学期を終えようとしていた。「英語なんてALTの先生と簡単な会話ができる程度。まさか自分がインターナショナルスクールに通うことになるなんて」と振り返る。

 

香港到着後、家族が選んだのはローカル生徒が7割を占めるローカルインター校と呼ばれる学校だった。ローカル校は香港でのカリキュラムを中国語で行いますが、ローカルインターは、外国のカリキュラムを採用し、英語で授業を行います。日本人感覚ではインター校ですが、現地と外国籍の両方をもつ香港人が生徒に多いのが特徴。つまり、顔立ちはアジアンがほとんどのインター校です。

 

夏休み明け、つまり新学年の初登校日、教室に響き渡るのは英語ばかり。教科書を開けば知らない単語だらけで、「まるで暗号を解読しているみたいだった」と当時を語る。

英語サポートクラスの役割


健太君が最初に登録したのは、EAL(English as an Additional Language)プログラムだった。香港の複数のインター校が提供するこのサポートシステムでは、週10時間の集中英語レッスンを受けながら、徐々に通常授業に参加していく。担任のマーク先生は「日本の公立校からの転入生には特に配慮が必要」と指摘する。「数学の単純計算能力は高いが、英語面では『Show your working(途中式を書け)』という指示すら理解できずに混乱するケースが多い。また、意見を言うこと、議論をすることができない」。

 

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効果的な学習戦略

 

「聞き取り」優先の勉強法


健太君は最初の3ヶ月、授業の一部をスマートフォンで録音させてもらった。学校の許可を取る時には、SNSなどにアップロードしない個人使用だけの約束を親と一緒に手続きした。それを自宅で再生しながら親や家庭教師の手助けをかりてノートに書き起こす作業を続けた。「最初は1時間の授業を復習するのに4時間かかりましたが、次第に毎日同じフレーズが聞こえるようになりました。耳が英語に慣れてきたのです。」

教科別アプローチ
 

科学の授業では、日本語の参考書と英語の教科書を並行して使用。「『光合成=photosynthesis』のように、専門用語から覚えるのがコツ」とアドバイスする。香港日本人学校の学習サポーターによると、理科系科目は専門用語さえ押さえれば、日本の進度が速いため逆に有利になる場合が多いという。ただし、異なる内容も学ぶため、それは予習が重要。

外国ならではの工夫
 

中国語(普通話)の授業では、同じく非ネイティブの韓国人生徒で同時に入学した生徒とペアを組んだ。「お互い苦手な分、放課後一緒に練習するようになり、意外な友情が生まれました。Kポップなどで盛り上がることもできたのにずいぶんと救われた。漢字は日本語とほとんど同じだったが、かなり難しい漢字を先取りしている感覚があった。」

保護者の関わり方
 

母親の雅美さん(仮名)は、次のような支援を行った:

週末には親子で英語の塾に通い学習した。親子のコースはなかったが、マンションの下に入る普通の学習塾で、希望を言うと、割増料金なしで個人レッスン料金の適応で調整してくれた。分かりにくいとこは親が日本語でサポート。「子供の記憶力と発音のコピー力に驚いた」と同時に親の英会話レッスンにもなった。

現地の日本人大学生の家庭教師(インター校出身)に週3回オンラインレッスンも。

学校のカウンセラーと必ず事前にアポをとり、月1回面談し、進捗を確認

「特に大切だったのは、『英語が完璧でなくてもいい』と伝え続けたこと」と雅美さんは語る。もともと成績がクラスでは平均点レベルだったので、日本でも毎日塾に行くような勉強の生活をしていませんでした。「同じマンション内の他の日本人家庭の先保護者から『インター校では50点でも十分』とアドバイスを受け、気持ちが楽になりました」

 

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6ヶ月後の変化


転校から半年後、健太君はEALクラスを修了。不登校になるのではないかというくらい、泣いてしまうこともありましたが、日本人大学生家庭教師の先生はいつもよりそってくれ、香港に来た当初の自分の体験を話してくれ「学校でお昼を一人で食べていた」というつらい体験を話しながら、どうすれば良いかをいろいろ親身に相談にのってくれていました。英語などの勉強より、メンター的な役目が大きかった。

 

それが、現在は歴史の授業で「第二次世界大戦の日米比較」を英語で発表するまでに成長した。成績はごく普通。でも、それがすごいことなのです。

 

「最初は悔しくて、トイレで泣いたこともあった。でも、先生が『あなたの日本語の知識がクラスの役に立つ』と言ってくれたのが励みになりました」

香港教育大学の研究によると、日本の小学校から現地インター小学校に転入した児童の約70%が、12-18ヶ月で学業についていける水準に追いつくという。鍵となるのは、母語の維持と英語学習のバランスだ。香港などのインター校では、広東語や中国語と英語を話すマルチリンガルの子どもがごく普通。健太君の場合、日本語での読書を毎日30分続けることで、言語的な認知能力の低下を防いだ。一方で、日本語力はあきらかに落ちていった。日本語を学習させる余裕はなく、インター校の英語の授業についていくことを最優先した。


専門家のアドバイス
 

香港国際教育コンサルタントのH氏は次のように助言する:

最初の3ヶ月は「観察期間」と割り切り、焦らない
体育や美術など言語負荷の少ない科目から自信をつける
放課後のアクティビティに参加し、自然な英語環境を作る
日本の学習指導要領と比較し、補うべき分野を明確にする

スポーツが好きなら校内外のクラブ活動に参加

インター校入学後最初の1年間は、日本カリキュラムの勉強は忘れ、全面的に英語を強化。学校のカリキュラムに集中することが重要。日本の教科書もしっかりと行おうとすると、英語面が不足して両方が中途半端になります。

「例えば、日本の小学6年生は分数の割り算を習いますが、イギリス式カリキュラムではもう少し遅い。算数・数学は日本語で先取りをしておくと、英語で学ぶ際にも有利になります」

 

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新たな挑戦へ


現在、健太君は「日本にいたら経験できなかった」という英語ディベートクラブに参加している。「最初は言葉の壁に苦しみましたが、今ではその多様性が自分の強みだと気付きました」と語る。次の課題は香港サイエンス研究コンペティションにグループ参加をすること。英語で考える力以上に、研究力の基礎を磨いていく計画だ。

この体験は、グローバル化時代の教育の可能性を示している。適切なサポートがあれば、日本の公立校で育った子どもでも、海外のインター校で十分やっていけるという物語です。

ただし、子どもによっては適応が難しいことがあります。香港には日本人学校もあり、インター校からの転校は嫌われることもありますが、無理ではありません。

 

また、母子だけ帰国するという選択肢もあります。それも普通のことです。

 

無理やりではなく、親子でチャレンジしていくこと。いろいろな選択肢を準備しておくこと。そして、子どもの努力以上に親が努力することが重要です。

 

エリート医学生の海外流出と「臨床離れ」:コロナ世代が暴いた日本の医療の時限爆弾
「東大医学部のトップ層は、卒業後はアメリカで研究職を目指している」


国立大学医学部の教授がこぼすため息が、医療現場に深い影を落としている。いま、日本の医学教育を揺るがす二重の危機が進行中だ──臨床医を目指すエリート学生の急減と、医学部志望者の「体験機会喪失」である。

データが示す衝撃の「臨床離れ」
東大医学部卒業生の臨床研修参加率は過去10年で22%下落(62% → 40%)

米国医師免許(USMLE)取得者のうち、75%が卒後5年以内に海外移籍

医学研究者志望者の8割が「日本の研究環境ではキャリア形成困難」と回答(日本医学系学生会議調査)

4割の国立大学医学部医学科が、USMLEコースを開設。積極的に英語での医学を推進。

「教授の研究室に出入りする学生は皆『NIH(米国立衛生研究所)で働きたい』と言っています。日本での臨床現場を志す学生はむしろ『珍しい』存在です」
──国立大学医学部 助教の証言

コロナが奪った「医師体験」:歪む志望動機
背景には医学部志望プロセスの根幹が揺らいでいる現実がある。従来、医師を目指す高校生は

 

 

病院での数日間のボランティア
医師のシャドーイング(同行観察)
救急現場などの実体験

を通じて職業の本質を体感していた。しかしコロナ禍以降:

  コロナ前 //// 現在
病院実習機会    92%の高校が実施  ////  18%に激減
体験内容    実際の医療現場  ////  オンライン見学・PR動画視聴
影響    医療の厳しさを理解  ////  理想化されたイメージのみ


「『ドクターX』のような医療ドラマを見て『カッコいいから』という動機の受験生が増えています。実際に採血を見た瞬間に失神する学生も少なくない」
──医学部予備校講師の危惧

連鎖する危機:臨床現場が失うもの
この現象がもたらす帰結は深刻だ:

臨床・研究の二極化
国内に残る臨床医は「研究志向の弱い層」が主流に

医療イノベーションの停滞
先端研究を行う人材の海外流出で創薬・医療技術開発が遅延

臨床現場の疲弊加速
熱意ある人材不足が医療崩壊に拍車

 

 

「外科医志望の学生が『オペを見たことがない』という異常事態。彼らが実際にメスを握る頃に、技術継承の断絶が表面化する」
──大学病院 外科部長の警告

打開策:体験機会の再構築へ
解決には大胆な制度改革が必要だ:

【高校】「医療体験プログラム」の義務化
文部科学省と連携した全国枠組みの構築

【大学】臨床・研究キャリアパスの明確化
国内で研究者として生きる道の確保(予算・ポスト増)

【病院】医師体験のデジタル化
VRを活用した手術見学システムの導入例(岡山大病院の試み)

「聴診器を握る手と、顕微鏡を覗く眼は両方とも医療の要だ。このバランスが崩れる時、患者を守るシステムは瓦解する」
──医学教育専門家 山田太郎教授

すでにタイムリミットは始まっている。コロナ世代の医学生が研修医となる2028年──その時、手術室から優秀な脳が消えている現実を、私たちは直視できるだろうか。

医学部入試の面接で「最後に病院に行ったのはいつですか?」と問うと、10人中7人が「小学校の予防接種以来ありません」と答える時代。医療のリアリティを伝える新たなインフラ構築が急務です。

 

次回に続く。

 

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インター校の親付き合いの本質:子どもを通じて学ぶ真のグローバルマナー


香港のレパルズベイにあるカフェで、ある日本人駐在員家族と地元の投資銀行家家族が笑顔で食事を共にしていた。銀行家の奥様が自然と伝票を受け取り「今回は私たちにお任せください」とさりげなく支払いを済ませた後、日本人の母親が「次回はぜひ私たちが」と申し出ると、銀行家の夫が「いえいえ、あなた方が日本から持ってきてくださった和菓子の方がよほど貴重ですよ」と応じた。この何気ない会話に、インター校コミュニティにおける成熟した親付き合いの本質が凝縮されている。

 

 

シンガポールのユナイテッドワールドカレッジで長年教鞭をとるイギリス人教師は、「本当に仲の良い生徒同士の親たちは、経済格差を越えた自然な友情を築いている」と指摘する。実際、ある日本人技術者の妻は、娘の親友であるインド人医師の家族からディナーに招かれた際、高級レストランでの支払いをめぐる気遣いを感じたが、「代わりに娘を通じて手作りの和菓子セットを渡したところ、逆に『こんな素敵な贈り物はお金で買えない』と感謝された」という。このような心の交流こそが、インター校コミュニティの真価と言えるだろう。

ドバイのアメリカンスクールでPTA代表を務めるレバノン人母親は、「経済的に余裕のある家庭が自然と費用を負担するのは、単なる気前よさではなく、『この友情を大切にしたい』という意思表示」と説明する。彼女の経験では、アラブ圏の家族は招待した食事会の支払いを当然のように引き受けるが、それは相手に負担をかけない配慮からだという。重要なのは、招かれた側が「高価な日本茶や手作りの折り紙」など、金銭的価値では測れない心のこもったお返しをすることだ。

 

 

こうした交流においては、感謝の表現が鍵となる。上海のブリティッシュスクールに子供を通わせるドイツ人ビジネスマンは、「招いてくれた家族には必ず手書きの感謝カードを送るようにしている」と語る。カードには「次回はぜひ私たちがドイツ料理をごちそうします」と書き添えることで、一方通行の関係にならない配慮を見せている。実際、彼の家庭は所得こそ控えめだが、子供の友達家族を自宅に招いて手作りのプレッツェルを振る舞うことで、独自の価値を提供している。

東京のアメリカンスクールでカウンセラーを務める日米ハーフの専門家は、「このような親の振る舞いは、子供にとって最高のグローバルマナー教育になる」と強調する。子供たちは親の姿から、経済力ではなく心遣いや感謝の気持ちが人間関係の基礎であることを学んでいく。ある14歳の生徒は「友達のママがいつも食事をおごってくれるから、僕は誕生日に手作りの日本語カードをプレゼントした」と語り、自然にバランス感覚を身につけていることがわかる。

ソウルのインターナショナルスクールで起きた感動的なエピソードがある。韓国人医師の家族と日本人会社員の家族が子供たちの強い友情に後押しされ、定期的に交流するようになった。当初、医師側が高級韓国料理店に招待していたが、ある時会社員側が「次はぜひ我が家で手作り寿司を」と招待したところ、かえって医師家族が「こんなに心のこもったもてなしは初めて」と感激したという。この関係は10年経った今でも続き、子供たちが大学生になっても両家族の交流が継続している。

 

 

重要なのは、こうした関係が自然に形成されるプロセスだ。香港の心理学者は「無理に背伸びをしたり、過度に遠慮したりせず、等身大の自分で接することが長続きする秘訣」とアドバイスする。シンガポール在住20年のベテラン駐在員は「私たちは収入が控えめだと最初から明言し、その代わり日本からの珍しいお土産や文化紹介で貢献している」と語る。この正直な姿勢が、かえって相手からの信頼を生むケースは少なくない。

最終的に、インター校の親付き合いで最も美しいのは、子供たちの純粋な友情が大人の関係も変えていく力だ。バンコクのインターナショナルスクールで、タイ人実業家と日本人教師という一見交わることのないはずの両家庭が、子供たちの仲をきっかけに親友同士になった例もある。実業家側が高級ホテルの食事に招待すると、教師側は次回タイの田舎でしか味わえないローカルフードを案内するなど、互いの強みを活かした交流を続けている。

「子ども同士の絆が大人の心の壁も溶かす」―これは世界中のインター校で見られる普遍的な真実だ。経済格差を意識する前に、まずは子供が育む友情を純粋に喜び、それを支える親としての自然な振る舞いこそが、真の国際人としての品格を表すのである。お土産の和菓子一つに込められた心遣い、感謝のひと言に表される敬意―こうした小さな積み重ねが、グローバル社会で通用する真の人間関係を築く礎となるのだ。

インター校の経済格差を越える:子どもが自信を持って生きるための処方箋


香港の名門インターナショナルスクールでは、クラス名簿を見ると保護者の職業欄に「心臓外科医」「国際法律事務所パートナー」「大学教授」といった肩書が並ぶことが珍しくありません。ある11年生のクラスでは、20人中15人の保護者が医師か弁護士という状況も報告されています。このような環境で、自分の親が日系技術系会社員という立場の子供は、どのように振る舞えばよいのでしょうか。

 

明らかに、会社の優遇でインター校で学ぶ予算は出ていても、給料はごく普通の会社員。職業的な差や、給料・資産の差はものすごいものがあることがあります。

実際のところ、多くのインターナショナルスクールでは、子供たち自身はクラスメートの家庭の経済状況をさほど気にしていない傾向があります。香港インターナショナルスクールに通う14歳の日本人男子は、「友達の父親が有名な脳外科医だということを2年経って初めて知った」と語ります。彼の場合、週末は友人たちとハイキングやバスケットボールを楽しむことが多く、「誰の家が一番豪華か」といった話題が上がることはほとんどないそうです。

 

 

お金・お小遣いの多い子どもが自然にみんなのマクドナルドのドリンクを親のカードで買うということはよく見られますが、そんなことをいちいち気にする親ではなく、お返し・お礼・返礼などを気にする必要もないと言えます。ちなみに、その子どものお小遣いは、親のクレジットカードで1日1万円と、使い切れないお金です。

この背景には、アジアのインターナショナルスクールでよく見られる「お小遣い文化」も関係しています。香港の英国系インター校では、中学生の平均的な月々のお小遣いが500-800香港ドル(約1万-1万6千円)と比較的控えめです。厳禁ではなく、現地のプリペイドタイプのカードだったり、アプリ使用の支払いで管理しています。高額なお金を持ち歩くことはありません。ある13歳の女子生徒は、「誕生日プレゼントに1万円以上のものを贈ると、逆に『なぜそんなに?』と不思議がられる」と明かします。

重要なのは、子供の世界では「何を持っているか」より「どう行動するか」が評価される点です。香港アメリカンスクールのカウンセラーは、「教師歴20年で気付いたのは、子供たちが最も尊敬するのは『一番面白いアイデアを出す子』『困っている友達を助ける子』であって、『一番裕福な家の子』ではないということ」と指摘します。実際、あるプログラミングコンテストで優勝した技術系会社員の息子は、弁護士の息子たちから「すごい!」と憧れの眼差しで見られていたというエピソードもあります。コンテストで受賞、学校で表彰、成績アップが、学校生活の中では一番重要なのです。

子供が自信を持つための具体的なアドバイスとして、上海のインターナショナルスクールで長年教鞭をとるベテラン教師は次のように提案します。「自分の家族の職業を誇りに思うこと。技術者なら『父は香港の地下鉄を支える重要な仕事をしている』と具体的に説明できるとよい。専門職ではない職業も、社会にとって不可欠な役割を果たしていることを理解させることが大切です。」

 

 

金融業界の親が多いクラスでうまくやっているあるエンジニアの息子は、「友達の会話が投資話になっても、『僕の父は違う角度から社会に貢献している』と自然に話題を変える」という工夫をしています。また、別の生徒は「医者の息子たちが医学用語で盛り上がっている時は、逆に『一般人の自分にもわかるように説明して』と頼むことで、かえってグループの中心的存在になれた」と振り返ります。実は、親の職業をはっきりと言わない子どもも多く、その場合は他の子どももその親も警戒します。つまり、仕事でつながっている可能性があるからです。さらには、アジア各国では普通のことですが、親の資産は職業に関連しないことがあります。つまり、職業的には裕福なはずはなくても、資産が莫大。その場合は、顧問弁護士を雇っている、投資銀行の重要顧客、不動産会社のVIP。子どもが子どもを馬鹿にするのすら危険なのです。

多様性を重んじるインターナショナルスクールの本質を理解することも重要です。ジュネーブの名門校元校長は、「本当のエリート教育とは、異なる背景を持つ者同士が互いから学び合う環境を作ること」と語ります。シンガポールのUWCでは、医師の子も会社員の子も、各自が持つユニークな経験や視点をクラスに貢献する「違いのデパートメントストア」と表現しています。

保護者としてできるサポートも存在します。ある日本人駐在員家庭では、技術者である父親が「モノづくりの面白さ」を子供の友達にも伝えるため、自宅で簡単な電子工作ワークショップを開催しました。これがきっかけで、逆に医師の家庭から医学講座の招待を受けるなど、相互交流が生まれたケースもあります。

 

 

香港の心理学者は、「子供は親の劣等感を敏感に感じ取る」と警告します。技術系会社員の父親が「自分は弁護士ほどではないが…」と卑下する姿勢を見せると、子供も自然と自信を失いがちです。逆に「自分の仕事に誇りを持ち、社会貢献を語れる親の子供は、経済格差を気にせず堂々としている」と指摘します。

実際のところ、インターナショナルスクールの上級生になるほど、こうした表面的な差異は意味を失っていきます。ある卒業生は「最終的には、大学で何を学びたいか、将来どう社会に関わりたいかという中身の話しか残らなかった」と語ります。医師の息子も会社員の息子も、同じスタートラインに立つ大学進学の過程で、むしろお互いの多様な背景から学び合える貴重な機会を得られるのです。

結局のところ、インター校という多様性の坩堝で重要なのは、「何者であるか」ではなく「どう生きるか」です。香港のベストセラー教育書が伝えるように、「真の国際人とは、異なる背景を力に変えられる者」。技術系会社員の子供という立場も、ユニークな視点を提供できる利点として前向きに捉えれば、むしろクラスにとって貴重な存在になれる可能性を秘めているのです。

前日からの続きです。

 

セカンダリースクール(中等教育)に進むと、保護者同士の関わり合いが自然と減少していく傾向があります。

これは世界的な現象で、シンガポールのドーバー・インターナショナルスクールに通う14歳の娘を持つ日本人駐在員母親は、「小学校時代は毎朝の送り迎えで他の保護者と顔を合わせていたが、セカンダリーでは子供が自分で通学するようになり、気づけば1ヶ月以上もスクールメイトの保護者と会っていないことに気付いた」と語ります。

 

 

この変化の背景には、成長した子供たちの自立が大きく関係しています。香港のインター校で教鞭を取る経験豊富な教師は、「セカンダリーになると、子供たちは自分で友達を選び、放課後の予定を決め、必要に応じて保護者に連絡するようになる。必然的に、保護者同士が直接関与する機会が減っていく」と説明します。ロンドンのハーロー校のような名門校でも、13歳以上の生徒は寮生活や自主通学が主流となり、保護者が学校を訪れる機会は年に数回の保護者面談や大きなイベントに限られてきます。

 

 

しかし、この「距離感」には教育的な意図があると専門家は指摘します。ジュネーブのインターナショナルスクールでカウンセラーを務める心理学者は、「思春期の子供にとって、親の過度な干渉から解放されることは健全な成長に欠かせない。保護者同士の交流が減ることで、子供たちは自分自身の判断で人間関係を築くスキルを養える」と解説します。実際、上海のアメリカンスクールでは、セカンダリー進学を機に保護者同士のLINEグループが自然消滅していくケースが多く見られるそうです。

とはいえ、完全に保護者同士のつながりが途切れるわけではありません。東京のブリティッシュスクールでは、セカンダリーの保護者向けに「年4回のカクテルレセプション」が開催され、子供の教育方針や進路について意見交換する機会が設けられています。また、バンコクのインターナショナルスクールでは、大学進学説明会が保護者同士の貴重な交流の場となっており、「子供の進路という重要なテーマを通じて、必要な時に必要な人脈が構築できる」とある保護者は評価します。
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この変化に対応するため、賢明な保護者は交流の質を変えていきます。ドバイのカナディアンスクールに子供を通わせるフランス人ビジネスマンは、「小学校時代の頻繁なママ友ランチは卒業し、代わりに年に1-2回、信頼できる数人の保護者と深い話ができるディナーを設けるようになった」と語ります。また、ニューヨークの国連系インターナショナルスクールでは、ボランティア活動に参加する保護者が自然と絆を深める傾向があり、学校祭やチャリティーイベントなどの「目的志向型」の交流が主流になります。

教育コンサルタントは、「セカンダリー期の保護者付き合いでは、『量より質』が重要になる」とアドバイスします。シンガポールの教育専門家は、「12歳以降は、全てのクラスメートの保護者と均等に付き合う必要はない。子供が特に親しい友人の保護者数組と、必要な時に深く話せる関係を築いておけば十分」と説きます。実際、オーストラリアのメルボルンにある名門校では、大学進学の時期が近づく16-17歳になると、進路情報を共有するため、特定の保護者同士の連絡が再び活発化するケースが見られます。

 

 

このような変化は、子供の成長過程における自然な流れです。香港在住で3人の子供をインター校で育てた経験のある日本人母親は、「小学校時代のママ友付き合いとセカンダリー以降の付き合い方は全く別物。後者では、いざという時に相談できる『戦略的パートナー』のような関係が少数あればよい」と、子育ての段階に応じた保護者付き合いの変化を実感を込めて語っています。セカンダリースクール時代の保護者付き合いの減少は、むしろ子供が自立し、保護者自身も個人としての時間を取り戻す過程として、前向きに捉えることができるでしょう。