今回は

「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の第3話です。

 

3.【「一般入試受験+総合型選抜受験」は矛盾している?】

一見すると、まったく異なる二つの入試対策を同時に進めるのは無理があるように思えます。ところが、高校の立場から見ると、この組み合わせこそが「安定した実績を残す方法」だとされています。その理由は、意外とシンプルです。

まず一つ目。一般入試で通用する学力があれば、総合型選抜(IB特別選抜など)がうまくいかなかったとしても、別のルートで勝負できます。たとえ医学部医学科をあきらめざるを得ない状況になっても、他の学部の国立大学や有名私立大学に合格できる可能性がぐっと高まります。つまり、一般入試の学力は“保険”の役割を果たすのです。

二つ目は、国際バカロレア(IBDP)の特性に関係します。IBDPは最終的な得点の確実性が低いため、高校としては「もしIBの成績が思うように伸びなくても、一般入試でカバーできる」という予備的なカリキュラムを用意しておきたくなります。これも安定志向の表れです。

ただし、ここには「一般受験レベルの基礎学力があれば、IBDPの高スコアも自然に取れるようになる」という、少しの思い違いが混ざっていることも事実です。

実際には、IBDPコースに入るために厳しい選抜をしている高校の場合、生徒の元々の学力が高いため、何をやってもある程度結果がついてきます。結果として、一般入試対策を同時に行っても成立してしまうのです。

しかし、選抜をそれほど厳しくしていない高校では話が違います。無理に一般入試対策を入れると、IBDPの成績が下がるリスクがあります。そうした学校では、IBDPの授業やカリキュラムに専念させる方が確実です。もちろん、希望者には選択制で一般入試対策を用意する必要はありますが、全員に強いるのは逆効果です。

ここで大切なのは、限られた時間の中で一般入試の基礎学力を伸ばせる生徒は、もともとIBDPの学習も効率よく理解し、アウトプットできる力を持っているからこそ、良い成績を取れるという点です。つまり、「一般受験の勉強をすればIBDPの成績が良くなる」という直接的な因果関係があるわけではありません。あくまで、どちらもこなせるだけの地力のある生徒だから両立できる、というだけの話です。

 

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ここまで読んで「なんだかややこしい」と思われたかもしれません。もう少し噛み砕きましょう。

総合型入試(IB特別選抜を含む)では、基礎学力に加えて「人間性」や「志」が評価されます。特に医学部医学科では、この部分が非常に重視されます。問題は、こうした評価は極めて予測しにくいということです。どれだけ準備をしても、当日の面接や志望理由書の評価がどうなるかは蓋を開けてみないとわかりません。

しかし、過去にIBDP利用入試からの入学者が毎年1、2名いる大学医学科においてはその合格者の人物像が固定されているとわかってきています。はっきりといえば、それは誰でもわかることができます。まず、募集要項に記載されています。募集要項の項目はまるで標語や単なる宣伝文句ではありません。一般入試とは違いIBDP利用入試というかなり特殊な入試方法を利用して入学させる生徒にたいして、大学は理想を追いかけています。また、その理想像が存在するのがIBDP生です。現在では過去に合格実績のある高校内においてはかなりしっかりと合格予想がなりたっています。これは、しっかりとした高校の場合、進学関係カウンセラー(担当教師)によって分析され、生徒や保護者に伝えられています。

例えば、令和8年度(2026年度入試・2026年4月入学)入学として2名の国立大学医学科合格をだしたIBDP高校がありますが、実績は始まったばかりで、合格した理由の分析は曖昧ですが、現時点でその結果が実ったとされ、次年度の対策に役立てています。

もし「IB特別選抜だけ」を狙って、一般入試に対応できる学力が伴っていない状態だったらどうなるでしょうか?IB特別選抜がうまくいかなかった瞬間、ほかに頼れる入試ルートがほとんどなくなってしまいます。これは高校にとって大きなリスクです。また、IBDP利用入試を行っていない大学を志望することができなくなります。

なぜなら、一部の国際バカロレア高校をのぞいて、IBDPコースのある高校は常に「合格実績」を求められているからです。進学実績が悪ければ、学校の評価が下がり、翌年の生徒募集にも響くと考えます。

 

 

そのプレッシャーの中で、高校は「多少生徒に負担をかけても、追加で学習させる」という選択をします。結果として、矛盾をはらみながらも「一般受験+総合型」という安定志向のアプローチが生まれるのです。高校がこの方法を“安定”していると感じる本当の理由は、生徒の負担よりも、学校としての実績を確実に残すことの方が優先されるから、に他なりません。

しかし、実際のところIBDPを利用した入試は、年々導入大学が増えています。また、試験日程も大学ごとにバラバラなので、同じ年度内に複数の大学を受験することが可能です。

そのため、たとえ受験先を医学科に限定したとしても、複数の大学に出願できます。さらに、医学科以外の学部を併願する場合には、かなり余裕をもって大学合格を勝ち取ることができるでしょう。

ただし、次の注意点があります。

国立大学の場合、もし先に「医学科以外の学部」に合格してしまうと、原則として同じ大学の医学科を受験できなくなる可能性があります。

また、どこかの大学に合格して入学手続きを済ませてしまうと、後からそれを取り消すことはできません。

つまり、「国立大学の医学科だけ」を目標にしている場合は、他の学部との併願について、かなり慎重に考える必要があるということです。

 

 

塾が発表する内容に、2つの国立大学医学部医学科に合格して1つを選んで入学したという宣伝文句も見かけますが、これは非常にグレーな行為なので、自己判断のもとにおいて受験活動を行いましょう。

しかし実際は、国際バカロレア生にとっては一般入試だけの生徒と比べて受験回数の面では多少多めなチャンスがあります。つまり、IBDP生は医学科受験にたいして特別不利益があるということはありません。合格可能性を事前予測することがまだ難しいことが、念のため一般入試対策をしておこうという行動に結びつきます。

次回は
4. 「目標」と「現実戦略」のバランス
です。

 

👇では先行して連載の全ての記事が読めます。

 

久しぶりの連載です。

今回は

「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の第2話です。

 

第1話は👇から。今はまだ無料で全文読めます。

 

👇noteでは先行して全文公開です。

 

それでは、今日の第2話を続けます。

 

2. 倍率も実質無意味「狭き門」の本当の意味

IB特別選抜の倍率を公開している大学は限られていますが、募集人員2名に対して応募者が数十名というケースも珍しくありません。単純計算すれば、倍率は10倍を超えることもあります。

この数字だけを見ると、「とても狭き門だな」と感じるでしょう。でも、ちょっと考えてみてください。この倍率には、そもそも出願条件を満たしていない人は含まれていません。 つまり、最初から「一定以上のIBスコアと、指定された科目構成」という厳しいフィルターを通過した者だけが、この倍率の中にいるのです。つまり、この倍率のさらに倍が感覚的には一般的な倍率にあてはまります。

医学部のIB特別選抜に限って言えば、「とりあえず出願してみた」という層はほとんどいません。出願する時点で基準点を超えるプレディクテッドスコアがあり、相当に覚悟と準備を整えた生徒だけがエントリーしています。そんな集団の中で競争するわけですから、一般入試のような倍率と偏差値を見比べた合格予測といった考え方は、そもそも通用しないんです。

倍率が高かろうが低かろうが、自分が大学の求める人物像に合致しているかどうか。そこだけが意味を持ちます。

「それなら、IBから医学部を目指すのは、あまりにも不確かな賭けなのか」と不安になった方もいるかもしれません。

確かに、医学部医学科国際バカロレア特別選抜だけに照準を絞ることは、リスクが高いと言わざるを得ません。

募集人員の少なさ、評価軸の多様さ、年度ごとの変動、これらを考えると、「IB特別選抜一本で勝負する」という戦略は、決して安定したものとは言えません。

医学科を目指すのであれば、一番安定して安心なのは、一般受験と総合型入試で合格できるように学習していくこと。それを進学校のIB高校では目指す傾向にあります。

これは矛盾していますが、一般受験でも合格できそうな学力がある場合は、安心して総合型受験対策を行い、総合型で合格を狙うとうことができます。

しかし、一般受験を行う勉強をしていくと、あきらかに課外活動が現象します課外活動の時間に一般受験対策の勉強を行う必要があるからです。つまり、医学科の場合は天才タイプの生徒しか受験できない・合格できないとなっていきます。

実際、医学科に合格するためには天才である必要がないにも関わらず、高校の指導方法からそのような選別が行われてしまいます。

そのことをもう少し説明していきます。

次回は
3.【「一般入試受験+総合型選抜受験」は矛盾している?】
です。

 

しばらく準備していました。ようやく掲載できます。9回かそれ以上の連載になります。

日によって、章によって長い短いがありますが、全体で18,000.字程度になります。

「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない


「IBDPから医学部医学科に合格する」

これは、実際に実績があるからこそお伝えできる話です。

ただし、その道のりは、一般的な医学部受験の常識ではちょっと測りきれない部分があります。中でも特徴的なのが、「偏差値」と「倍率」という二つの指標がほぼ意味をなさないという点です。

今回は、この「偏差値が意味をなさない」という現実を説明しながら、IB(国際バカロレアコース)から医学部を目指すうえで、本当に大切な視点をお伝えします。

そしてその「心構え」と、今回お伝えする「現実的な戦略」のバランスをどう取っていけばいいのか、そのあたりを少しずつ見ていきましょう。

 

 

1. 偏差値は関係ない。では、何が関係するの?

現在の自分の偏差値を知るには、偏差値がわかる全国模試を受けてみることが確実です。その偏差値から、大学の偏差値を比較して、通常の一般入試であれば合否到達点が分かります。もちろんぎりぎりの得点であれば合格は難しいかもしれませんが、ある程度偏差値的に超過している場合は、その大学への合格が確実な偏差値的学力があることとみなされます。

偏差値がわかる生徒の場合「偏差値が高い生徒は、比較的IBDPの結果もある程度良い」。これは間違いないと思います。基礎学力が高いことは、IBというハードなプログラムでも大きなアドバンテージになります。

でも、ここで注目したいのはその逆なんです。

偏差値があまり高くなくても、IBDPを活用して国立大学医学部医学科や私立大学医学科に合格している生徒が確かに存在します。

なぜそんなことが可能なのか。嘘や誇張ではありません。偏差値には不十分な生徒、つまり偏差値を知る為に受けた模試では不十分な成績の生徒が、偏差値的には無理そうな医学科に合格できています。

この理由は大きく分けて三つあります。

 

👇インター校も受験があります。それは日本の学校の受験とは異なります。

 

【理由1:IBDPには「偏差値」という概念がそもそも当てはまらない】

国内の一般的な高校受験や大学受験では、偏差値はある程度有効な指標です。同じカリキュラム、同じ試験形式の中で、相対的な位置を示してくれますから。

でもIBDPコースは事情が違います。IBDPを提供している学校は、国内の一条校IBDP高校、国内インターナショナルスクール、私立学校のIBDPコース、海外のインター校、海外の現地校など、実にさまざま。

よく、「国際バカロレアコースの生徒のライバルは世界中にいる」と言われるゆえんです。

日本の一条校や私立校などでは偏差値を指標利用したり、一般受験対策を同時にする学校もあるので、IBDP生徒の偏差値を確認する為に模試を受けさせることがあります。この場合、通常の授業の後や週末を利用して、一般受験対策の補講を行っています。あまりに偏差値が低い状況は悪い噂をうむので、ある程度高い偏差値がとれるように対策して模試を受けさせます。これは、生徒の勉強に過度の負荷を与えてしまいますが、学校としての方針と言えます。

しかし、インター校や海外の学校では日本の「偏差値が分かる模試」を受けていない生徒が多くいます。国内の国際バカロレア校でも同じです。そもそも国際バカロレアのカリキュラムは通常の日本のカリキュラムとは学ぶ内容が異なりますから、その内容に基づいた模試を受けてそのカリキュラムにおける偏差値を知る必要がないわけです。

その生徒が医学科に合格すると、高校時点での偏差値は「不明」という状態です。つまり、合否と偏差値の間に明確な相関関係も見出すことができないのです。

 

 

【理由2:IB特別選抜の評価軸が、偏差値とは別の次元にある】

医学部のIB特別選抜では、IBDPの最終スコア、志望理由書、面接、小論文などが総合的に評価されます。ここで問われるのは、「いかに高いスコアを取ったか」という一点だけではありません。最終スコアに3点の差があっても合格できない生徒がいます。つまり、他の受験生より3点以上スコアが低い生徒が合格しています。

面接官が見ているのは、その生徒がIBDPというプログラムの中でどのように学び、どのように成長し、どのような問いを抱えてきたのか、そういう「過程」や「人間性」です。

IBスコアが39点でも40点でも、その1点の差よりも、志望理由書に込められた熱意や、面接での受け答えの深さ、さらには高校(高校相当学年)における活動や研究内容のほうがはるかに大きく評価を左右します。

これは、偏差値という「相対的な学力指標」では絶対に測れない領域です。

大学によって合否基準がかなり変わることは確かです。同じ「国立大学」大学群の中でも、その大学によって合格者の特徴が異なります。

しかし、明確に言えることは、IBDPの得点が高い順番ではないことです。つまり、IBDPの得点を偏差値のように置き換えて考えることは無意味です。もちろん、基準点が設定されているため、最低でもその基準点を超えないかぎり、仮合格でも最終的には「辞退者」扱いで表記される「不合格」になります。基準点は大学によってまちまちですが、現状35点以上が必要です。低いと感じる人もいるでしょう。しかし、結果的にその合格者の経歴はすばらしく、大学入学後の実績も学内で話題になっています。

 

【理由3:IB生の「母数」が小さく、合格実績が個別性質に依存する】

IB特別選抜を実施している医学部の募集人員は、各大学若干名(2名程度)ととても少ないです。そのため、合格実績から「何点取れば安全か」といった統計的な傾向を読み取ることが難しく、むしろ「その年の応募者の中で、誰が最も大学の求める人物像に合致しているか」という、個別性の高い勝負になります。

こうなると、「偏差値が高いから合格できる」「偏差値が低いから不合格」という図式は、最初から成立しないわけです。

次回は
「2. 倍率も実質無意味「狭き門」の本当の意味」
です。

👇では先行して全9章の全記事が読めます。

 

海外帯同・親子留学で子どもがバイリンガルになる? 知っておきたい11の現実

 

未だに、ちまたでは留学に関しての勘違いが多くあります。都心ではインター校人気が過熱しすぎているようですし、海外短期親子留学・単身留学も非常に話題です。

 

いろいろな勘違いや思い込みが多いようで、結果的によく言われる「日本語も英語も中途半端な成績」の生徒が増えているようです。

 

今日はそれをまとめて説明していきます。


子どもを外国に連れていくという代表的な状況は、親が海外駐在になり家族帯同するケースです。この場合、日本人学校があるかないかの問題と、日本人学校があってもなくても、インター校(アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダの英語圏では現地校も)に入れるかどうかの選択があります。

 

一般的には、インターに入学させたからといって、英語は自然に上達しないことが知られていると思うのですが、実はそうではありません。そして、その勘違いが家族内大問題になっています。

 

現在、マレーシアの親子留学のように、インターに入れて英語を鍛えて子どもがバイリンガルになると考えている親は多くいるようです。そして、残念ですがその結果として日本語も英語も中途半端になるということがあります。

では、なぜ「中途半端」に終わってしまうのか。そこには、親が気づきにくい落とし穴がいくつも存在します。以下、実際の駐在・留学事例から見えてきたポイントを整理します。

1)海外駐在員家庭は、帰国を想定して塾などで日本語も英語もかなり鍛える

まず大前提として、駐在先で子どもをインターに入れている家庭の多くは、いずれ日本へ帰ることを見越して、現地でも日本人学校の補習やオンライン塾、日本語の教材などを活用しながら、意識的に両言語を鍛えています。「環境に任せれば大丈夫」と思っているだけでは、帰国後の学力が追いつかなくなるからです。

 

駐在ではなく、子どもの英語のためだけに海外留学を選ぶ場合は、親の知識が少なく、十分に対応できていないことが多くあります。

2)子どもによっては英語の才能(言語的な才能)が少なく、どんなにやっても英語に苦労する

これは駐在員の子どもにも同じことですが、駐在はしかたない側面があり、それを理由に後悔するという流れにはなりにくいです。

 

一方で、英語のために留学を選んだ家庭では、現実的に英語が上達しない子どもを見ると、その理由を整理することができないばかりか、現実を受け入れることができない親が多くいます。

 

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語学の習得スピードには個人差が大きく、中学生以降は残念ながらいくら時間をかけても英語が苦手なままの子もいます。これは努力不足ではなく、生まれ持った言語センスの違いによる部分が少なくありません。英語が苦手でも数学は良い成績ということがあります。英語の上達もやはり才能に左右されます。

3)一方で、なんでもできてしまう子どものように、勝手にどんどん英語が上達し、語学の勉強も進んでやる子どももいる

確かに、何もしなくても現地の友達と流暢に話せるようになる子や、新しい言語を吸収するのが得意な子も存在します。しかし、そうした子どもはむしろ稀であり、「自分の子もそうなるだろう」と期待するのは危険です。

4)ほとんどの場合は自動的には上達しないので、塾などで日本語面と英語面の両方のサポートが必要


駐在員家族の例では、やはりほとんどの家庭で英語習得と日本語の維持のために何らかの塾に通い対策を行っています。
 

大多数の子どもにとって、母語と第二言語を同時に高いレベルで維持することは非常に困難です。そのため、学校の勉強だけにしておくのではなく、日本語補習校やオンライン塾、英語の個別指導などを組み合わせた計画的な両言語サポートが不可欠になります。これには国によってかなり高額な費用がかかります。日本は塾も格安な国です。

 

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5)そんな塾通いでも、やはり無理がたたり、勉強が一切できなくなることがある

しかし、ここで注意したいのが「過剰なサポートの弊害」です。子どもはなれない環境、新しい学校(インター)の宿題課題、友人関係の悩みに加え、日本語の勉強、塾の宿題と、休む間もなく追い立てられることがあります。その結果、心身のバランスを崩し、勉強そのものがまったく手につかなくなってしまうケースも珍しくありません。

 

駐在員家庭でも、そんな理由から帯同家族だけすぐに帰国し、単身赴任に切り替える場合もあります。

6)期待しているほど、短期留学の成果は見えないことが多い。その短期間でも、中学生・高校生の期間であれば授業はどんどん進むので、帰国して授業についていけない

特に1年程度の短期留学では、英語力の伸びは限定的である場合がほとんどです。それ以上に大きな問題は、日本で同級生が進めている学習内容の進行速度です。中学生であれば、留学で空白の1年を作った結果、帰国後は数学や理科、国語、社会と全ての教科で大きく遅れを取り、授業にまったくついていけなくなる危険性があります。

7)帰国生枠での中学・高校受験を目指す場合でも、日本で日本語を学びながら英会話教室に通っている生徒の実力のほうが上のことがある。また、母数が多いことから、受験のライバルは実質的に国内生になりがち

帰国生特別入試があるからといって安心はできません。実際には、海外で過ごした期間が短かったり、英語力がそれほど高くなかったりすると、日本でコツコツ英語を続けてきた国内生のほうがテストの点数で上回ることもあります。さらに、帰国生枠の募集定員は少なく、実質的な競争相手は同じ帰国生ではなく、多数の国内生になってしまうのが現状です。

 

それでもやっぱり海外大学👇最初の1歩から入学まで。

 

偏差値上位校の場合は、駐在家庭からものすごい才能をもった生徒が集まってきます。入試は熾烈です。さらに、いったんそんな上位校に入学しても競争がし烈で、そんな海外からの生徒たちもかなり苦労することが多くあります。

8)高校から入学できる学校が減っている

帰国生を受け入れる学校の数は、特に高校入学に関しては減少傾向にあります。中学受験と違い、高校からの編入や入学が可能な学校は限られており、選択肢が狭まっていることを認識しておく必要があります。

9)安易な考えでの留学は良くない結果を生み出す

「とにかく英語を話せればいい」「環境さえ与えれば何とかなる」というような安易な発想で留学や帯同を決断すると、後々取り返しのつかない学力の遅れや、子どもの自信喪失を招くことになります。

10)全体の統計はないが、どうやら親の認識不足により、海外短期留学(1年程度)の場合は成果が出ない人がかなり多い

厳密な数字はありませんが、多くの帰国生支援団体や教育関係者の報告によると、1年程度の短期留学で親の期待するような「バイリンガル」に育った例はほぼありません。

 

もともと英語がかなり上手な生徒が留学した場合とは異なります。親が「現地校に入れれば大丈夫」と楽観しすぎているケースほど、成果が出ていない傾向があります。

 

あえて宣伝のために過去の海外生活経験をふせて、短期留学後の成果を強調する学校・塾・留学会社などもあり、あまり信用しすぎないことが大切です。

 

 

11)海外留学が2年、3年になると、もはや後戻りできない。だからこそ、真剣に子どもの学力や必要なことを考えてあげて、二人三脚、あるいは親2人でサポート体制をつくる必要がある

海外生活2〜3年という期間は非常に厄介です。帰国したときに日本の学校に復帰しようとしても、学習の遅れは大きく、「戻る」ことが実質的に不可能な場合も出てきます。

 

そうなる前に、子どもの特性や将来の進路を真剣に話し合い、親が一方的に押し付けるのではなく、子どもと二人三脚で、あるいは両親が役割を分担して長期的なサポート体制を築くことが何より大切です。

海外での教育は、夢や可能性に満ちている一方で、「英語さえ身につけばいい」という単純な話ではありません。わが子の才能や適性、そして家族全体のライフプランを見据えたうえで、冷静に、そして覚悟を持って臨むことが求められます。

 

インター校留学を成功に導くための方法を説明します👇noteへのリンクです。

 

IBDPで医学科を目指すなら「あえて地方」


「国際バカロレア(IBDP)を学べる高校なら、やはり都会のインターナショナルスクールが有利なのでは?」そう考える方は少なくありません。しかし、医学科進学を視野に入れているなら、あえて地方のIBDP校を選ぶという選択肢が、実は非常に理にかなっているのです。

地方の国立大学医学科への現実的な道
 

まず押さえておきたいのは、国立大学医学科の合格実績です。IBDPを提供する地方の高校は、都市部の有名校ほどの派手な実績は出せないかもしれません。しかし、だからこそ「地方国立大学医学科」への出願に力を入れているケースが多く、結果として進学実績があります。


医学科受験において最も避けたいのは「不合格」というリスク。地方のIBDP校は、そのリスクを最小化しながら、確実に合格を掴む戦略を考えています。

 

 

地域医療問題が生む「有利な傾向」

見逃せないのが、地方大学医学科が直面する深刻な地域医療問題です。多くの地方国立大学医学部は、地元出身で地域医療に貢献してくれる人材を積極的に獲得しようとしています。

その結果、同地区ではなくても、地方都市の高校からの受験生が有利に働く傾向が生まれています。IBDPという国際的な教育を受けながらも、「地元に根ざしたい」という意思を示せる受験生は、地方大学にとって理想的な存在。単なる学力勝負では測れないアドバンテージが、ここにはあります。

「医学科不合格=理系」という強力なセーフティネット
 

IBDPのカリキュラムは、理系科目の選択肢が多い学校の場合は理系進学に非常に強いのが特徴です。そのため、仮に医学科に合格できなかったとしても、スムーズに「理系進学」へ方向転換できます。

しかも、IBDPで培われた探究力やクリティカルシンキングは、どの理系学部でも高く評価されるため、国立大学や海外大学へ「間違いなく合格できる」と言っても過言ではありません。つまり、医学科挑戦のリスクを極限まで下げつつ、万が一の際にも確実な進路が保証されているのが、IBDP生の強みなのです。

 

全面改訂版 子供の為に国際バカロレア校を選ぶべきか悩んでいる時に読む本: 学年別、進学のパターンとその実情

 

世界の大学も視野に入れた「理想の選択」

もちろん、IBDPの最大の魅力は海外大学進学への扉が開かれること。地方の高校にいながら、世界のトップ大学を視野に入れることも決して夢ではありません。

「まずは地元の国立大学医学科を現実的な目標に据えつつ、選択肢として海外も考慮する」このバランスこそ、地方IBDP校で可能になる理想的な進路設計と言えるでしょう。

医学科や海外大学進学という高い目標を達成するために、あえて「地方」を選ぶ。一見すると遠回りに見えるこの選択が、実は最も確実で、かつリスクの少ない道かもしれません。