最終話です。

 

(4)暗闇が怖い子ども・それは治るの?

暗闇が怖い子ども。それは治るの? 親が知っておきたい「怖れ」の成長
 

「ママ、暗いのが怖い」その言葉に、どう答えていますか

やってはいけないこと


まず、避けたい関わり方からお伝えします。


「そんなのいないでしょ」「何歳なんだから」「みっともない」と否定する。 これは、子どもの怖れをなかったことにする行為です。子どもは「わかってもらえない」と感じ、かえって不安が強くなります。また、「怖がるから余計に出るんだよ」「気にしなければ大丈夫」 と言うのも、逆効果です。怖れは、本人の意思で消せるものではありません。

「じゃあ、電気つけっぱなしでいいよ」と、怖れを回避し続ける。 これも、長期的にはよくありません。回避は一時的な安心をもたらしますが、「暗闇は危険だ」という信念を強化してしまうからです。

 

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やってほしいこと


「怖いなら、一緒にいてあげる」「扉のところで座っててあげる」を続ける。 これは、親子の絆を深める意味でも悪くありません。しかし、子どもの「一人で眠る力」を育てる機会を奪うことにもなりかねないのではないでしょうか? そんなことはありません。ずっと添い寝をするのではなく、多少距離をとりつつ、時間をかけて、日数をかけてならしてあげることです。


小学校高学年以降まで続くと、自立の妨げになることがある? そんなことはありません。いきなり変化を起こすことは無理です。ゆっくり対処していきましょう。扉をあけて、部屋の電気は消しても廊下の電気はつけておく。寝静まったら廊下の電気を消す。少しづつです。

基本は、「怖れを受け止める」です。


まず、気持ちを受け止める。 「暗いと怖いんだね」「どんなふうに怖いの?」と、子どもの言葉をそのまま返します。これは、「あなたの気持ちは間違っていないよ」 というメッセージになります。子どもは、自分の感情を否定されないと、少しずつ落ち着きます。自分も子供のころは怖かったと言ってあげてもよいでしょう。

次に、安心の材料を一緒に探す。 「暗闇に怪物はいない」と論理的に説得するのではなく、「ここには、あなたを守ってくれるものがある」 という感覚を育てます。たとえば、お気に入りのぬいぐるみ、小さなライト、家族の写真、守ってくれるお守り。「これがあれば大丈夫」 というアイテムは、子どもの安心を支えます。ライトは武器です。大き目の懐中電灯や、ランタンのような形の充電式ライト。手の届く場所においてあげるだけでも変化が生まれます。

 

 

いきなり「今日から電気を消して寝なさい」ではなく、階段を一つずつ上がるように進めます。たとえば、次のようなステップです。

まずは、部屋のドアを少し開けておく

次に、小さなナイトライトをつける

慣れたら、ナイトライトを少し暗くする

さらに慣れたら、ドアを閉めてみる

最終的に、電気を消して眠る

 

これに5年かかるでしょう。それで良いのです。子どもの成長を感じます。子育ての幸せはそんなところにあるものです。

それぞれのステップで、「できたね」 と一緒に喜びます。できなかったときは、「じゃあ、今日はここまでにしよう」と戻ります。戻ることは、失敗ではありません。 子どもが「自分のペースで大丈夫」と感じられることが、何より大切です。

 

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親自身がリラックスしていること


意外に思われるかもしれませんが、親自身の落ち着きが、子どもの怖れに大きく影響します。親が「また怖がってる」「早く寝てほしい」とイライラしていると、子どもはその緊張を敏感に感じ取ります。逆に、親が落ち着いて「大丈夫だよ」と笑顔でそばにいるだけで、子どもの不安は和らぎます。

 

子どもがベッドルームに行ったら夫婦喧嘩をしていませんか? その声は聞こえています。

 

子どもの行動を見て自分自身を振り返ることも重要ですね。

こんなときは、専門家に相談を
 

ほとんどの場合、暗闇への怖れは自然に治まっていきます。ただし、次のような場合は、一度専門家に相談してみましょう。

怖れが日常生活を大きく妨げている(学校に行けない、外出できない、眠れない日が続く)

怖れが年齢に見合わず強い、または長期間続いている、特に高校生でも続く。


身体症状を伴う(動悸、息苦しさ、吐き気、頭痛、不眠)

不安障害やパニック症状が疑われる

家族や学校など、環境の変化が背景にあると思われる

相談先としては、小児科、児童精神科、小児神経科、臨床心理士・公認心理師などが挙げられます。必要に応じて、認知行動療法などの心理療法が有効な場合もあります。

ただし、繰り返しますが、ほとんどの子どもは、特別な治療を必要としません。時間とともに、自然と治っていくものです。必要なのは、親との会話だったりします。特に、父親との会話がない子供は不安要素が大きいこともあります。

怖れは、成長の一部

 

「暗闇が怖い」は治ります。年齢が上がるにつれて、自然と治っていきます。

そして、その治り方は、怖れが消えるのではなく、怖れとの関係が変わるというものです。ホラー映画が怖くて見られなかった子が、大きくなって、ジャンプ・スケアに驚きながらも笑って楽しめるようになる、あれと同じです。驚きはあっても、怖れではなくなる。 それが、成長による変化です。

だから、今、お子さんが暗闇を怖がっていても、どうか焦らないでください。「この子は今、想像力が育っているんだな」「脳が正常に発達しているんだな」 と、少し違う見方をしてみてください。そして、「大丈夫だよ」とそばにいてあげてください。

怖れは、成長の一部です。そして、その怖れを一緒に乗り越えていく時間は、親子にとって、かけがえのない思い出にもなります。いつかお子さんが、暗闇を気にせず眠れるようになったとき、「あの頃は、毎晩一緒に戦っていたね」 と笑い合える日が来るはずです。

その日まで、どうか焦らず、お子さんのペースで。