(1)暗闇が怖い子ども・それは治るの?

暗闇が怖い子ども。それは治るの? 親が知っておきたい「怖れ」の成長
 

「ママ、暗いのが怖い」その言葉に、どう答えていますか
 

夜、子どもが布団に入ったと思ったら、すぐに起きてきて「暗いのが怖い」と言う。トイレに行くにも、廊下の電気を全部つけて回る。寝室のドアを少し開けておかないと眠れない。電気をつけたままじゃないと、一人で部屋にいられない。

こうした姿を見ていると、親としては心配になります。「このままずっと怖がっていたらどうしよう」「いつになったら一人で寝られるようになるんだろう」「もしかして、何か問題があるんじゃないか」と。

結論から先に言います。暗闇が怖いのは、子どもの発達においてごく自然なことであり、ほとんどの場合、年齢が上がるにつれて自然と治っていきます。 そして、治るプロセスは、決して「克服」や「我慢」ではありません。脳と心が育つにつれて、怖れの質そのものが変わっていくのです。

今回はなぜ子どもが暗闇を怖がるのか、それはどのように変化していくのか、そして親がどう関わればよいのかを、できるだけ具体的にお伝えします。最後には、ホラー映画が怖くて見られなかった子が、大きくなってからホラーを笑って楽しめるようになる——そんな実例も交えながら、「怖れの成長」について考えていきましょう。

インター校でも国内校でも、国際バカロレアでもなんでも、子どもの恐怖とその克服や変化の過程は、国や学校は関係ありません。どこの国のどの子どもにもある普通のことです。
 

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なぜ子どもは暗闇を怖がるのか


まず、根本的なことをおさえておきましょう。暗闇を怖がるのは、子どもの脳が正常に発達している証拠です。これは決して、弱さでも、甘えでも、性格の問題でもありません。

想像力が育つからこそ、怖くなる
 

2歳から6歳頃にかけて、子どもの想像力は爆発的に伸びます。空想の友達を作ったり、ごっこ遊びを楽しんだり、物語を自分で作ったりするようになります。この想像力は、とても大切な力です。しかし、想像力は良いものだけを生み出すわけではありません。

暗闇の中に、想像力が「何か」を作り出します。カーテンの揺れが、誰かの影に見える。部屋の隅の服の山が、怪物に見える。時計の音が、誰かの足音に聞こえる。大人になると、こうしたものは「ただのカーテン」「ただの服」「ただの時計」と即座に判断できます。しかし、想像力が豊かで、まだ現実と空想の区別がつきにくい子どもにとって、それらは本物の脅威として感じられます。
 

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危険を察知する脳の働きが敏感
 

人間の脳には、危険を察知するための仕組みがあります。大脳辺縁系にある扁桃体(へんとうたい) という部分が、それです。扁桃体は、暗闇や大きな音、突然の動きなどに対して「危険だ」という信号を出します。これは、人類が長い進化の中で身につけてきた、身を守るための本能的な反応です。

子どもは、この扁桃体の働きが非常に敏感です。一方で、危険を客観的に判断し、恐怖を抑える役割を担う前頭前皮質は、まだ十分に発達していません。前頭前皮質は、10代から20代にかけてゆっくりと成熟していく部分です。つまり、怖れを感じる部分は早くから働き、怖れをコントロールする部分は後から育つ。だから子どもは、大人が思う以上に、暗闇を強く怖がるのです。大人になると「暗闇が怖い=危険」となりますが、子どもはその本能的な部分での恐怖なのです。
 

現実と空想の区別がつきにくい

3歳から7歳頃の子どもは、「アニメのキャラクターが本当にいるかもしれない」「絵本の怪物が夜になったら出てくるかもしれない」 と、本気で思っています。これは、知能が低いからではありません。認知発達の段階として、現実と空想の境界がまだあいまいなのです。

だから、「そんなのいないよ」と言っても、子どもには響きません。子どもにとって、それは「いるかもしれない」ではなく「いる」 のです。

怖れは、どのように変化していくのか

 

次回に続きます。

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