IB利用入試で直面する筆記試験「基礎学力」を確認するための試験の内容とは
の連載をおこなっています。
今日はその4です。
⑤ 過去問がないからこそ、戦略的な対策を
IB入試の筆記試験は大学ごとに内容が異なり、過去問が公表されていないことが多いという、非常に対策のしづらい試験です。だからこそ、「共通テストレベルの問題を解く」というオーソドックスな手法に加え、さらに踏み込んだ対策が必要です。
まず、共通テストの過去問はあくまで「基礎力の棚卸し」と捉えましょう。大問ごとの解法の流れを言語化(日本語で説明)する練習を徹底してください。例えば数学なら「なぜこの公式を最初に選んだのか」「図形の問題で補助線を引くとしたらどこか、その根拠は何か」を、物理や化学なら「どの物理量に着目して保存則を適用するのか」を、解答用紙の余白に書き出す習慣をつけます。これにより、IBDPで培った「思考プロセスを論理的に開示する力」が、未知の筆記試験形式でも存分に発揮できるようになります。
次に、国公立大学の二次試験(記述式)過去問も強力な武器です。
これらの問題は、単一の知識ではなく複数の単元を融合させた複合問題が多く、制限時間内に「わからない問題をどう推理し、部分点を積み重ねるか」という実践的スキルが鍛えられます。
さらに、試験当日の時間配分と「取捨選択」の戦術も事前に確立しておきましょう。全問正解を目指すのではなく、「確実に得点できる問題」「部分点を狙える問題」「捨てる問題」を最初の5分で見極める練習を、模擬試験のたびに行います。記述式の場合、途中式や考察の道筋が丁寧に書かれていれば、最終解答が間違っていても大きく減点されないケースが多いことを忘れないでください。あくまでも目指すのは100点満点中50点程度です。
加えて、帰国生や海外在住経験の長いIB生が特に注意すべきは、日本語の専門用語と定義の完全な一致です。英語で学んだ内容を日本語の問題文で瞬時に理解するには、主要な用語(例:数学の「漸近線」「収束」、物理の「仕事」「運動量」、化学の「エンタルピー」「平衡定数」など)を和英対応表にまとめ、声に出して定義を説明できるまで繰り返すことが効果的です。これだけでも読解スピードが格段に上がり、思考に回す時間を確保できます。実力が十分ある生徒は、日本語対応をしっかり行うだけで問題にアプローチできる可能性があります。
最後に、どうしても解答に詰まった場合の「フェアな対処法」を用意しておきましょう。発表形式や口頭試問が併用される試験では、「現時点で自分が理解している範囲を整理して提示し、どこで思考が止まっているかを正直に言語化する」ことが、むしろ高評価に繋がります。
未知の問題ほど、IB生の「探究心」や「レジリエンス(回復力)」が試されていると捉え、沈黙ではなく対話の姿勢で臨むことが大切です。問題が難しく回答をあきらめる瞬間には「自分の経験ではこの問題はできなくて当然なのだ」という考えに変えて対処することです。
👇noteで記事を全文公開しています👇
つまり、対策の本質は「特定の過去問を当てに行くこと」ではなく、「どんな未知の問題が出ても、自分の思考のプロセスを整然と示せる態勢」を整えることにあります。共通テスト、二次試験の過去問を「素材」として使い、答えを出す訓練ではなく「どう考えたかを説明する訓練」に主眼を置いてください。そうすれば、過去問がなくとも、合格に必要な基礎学力と思考表現力は確実に身につくはずです。
⑥ その前に、重要なことを確認しましょう
募集要項に入試項目の配点基準が書いてありますが、これに注目しましょう。
書類審査・面接・筆記試験・英語試験と4種類の項目にたいしてそれぞれ100点、合計400点として審査される場合、筆記試験での得点は他の得点で挽回できます。
【次回へ続きます】
