連載企画第2弾「インター校留学の落とし穴」です。毎日更新できないかもしれませんが、飛び飛びでも続けて掲載していきます。


今日は、連載企画第2弾「インター校留学の落とし穴」の初回です。

「教育移住・インター留学で英語がペラペラになる?」
いや、それが落とし穴です(実例付き)


最近、マレーシアやフィリピン、タイ、シンガポール、カナダやオーストラリア、ニュージーランドなどへの「教育移住」や、子どもだけをインターナショナルスクールに1〜数年単位で留学させる家庭が急増しています。理由はもちろん「英語を身につけさせたい」「バイリンガルに育てたい」というもの。

しかし、現場のリアルをお伝えすると、かなり実際の状況が理解できます。

思ったように英語は上達しない。日本語もなんだかなまる、それなのにインター校での成績は低いまま、そして日本の学習から取り残され、留学後の帰国後も希望の進路に行けない。そんな家庭が本当にたくさんあります。

わが子に限ってそんなことはない。SNSで言われる「英語も日本語もへたな、ダブルリミテッド」な子どもにはならない、そう考えていると結果的には良い方に向かいません。

まずは、実例をもとにお伝えします。名前はすべて仮名です。失敗だとは言いませんが、思っていたのとは異なる結果になっています。


【ケース1】小学5年からマレーシアのインターへ。中学帰国したマサトさんの場合

マサトさんは、父親の海外駐在に伴い、マレーシアのインターナショナルスクールに小学5年から中学1年までの約3年間通いました。

当時の親の期待:「世界から来た他の駐在員の子たちと一緒に学べば、英語は自然にペラペラになる。帰国後は帰国生枠で有名中高一貫校に合格できる」

現実:

学校では駐在以外の親子留学などの日本人生徒も多く、授業以外は日本人生徒があつまり日本語で過ごす
クラスメイトとして他の国から来た生徒の友達はいるが、深い議論ができるほどの英語力はつかず
学校の成績は中の下
英語の読み書きは小学生低学年からいる生徒においつけない

一方で、日本の算数・国語は全く勉強せず

帰国後、帰国生入試を受けるも不合格
地元の公立中学校に入学
公立中学では英語だけが少しできる「変な子」扱い
あいかわらず数学は平均以下

現在中学3年
「高校はどこに行けばいいのか」と親子で悩んでいる

 

 

【ケース2】カナダに1年間留学したマユさん

マユさんは、日本の高校に入学した直後、「英語を徹底的に鍛えたい」との家庭の方針で高校を休学してカナダのインターに1年間留学しました。寮生活で、親は日本に残っています。

当時の親の期待:「1年本気でやれば、帰国後は英語が武器になる。大学受験も有利に」

現実:

寮には日本人・韓国人・中国人ばかり。授業以外は各自が母国語
夕方からは自由時間
スマホゲームやYouTubeで過ごすことがほとんど

英語の授業も簡単に追いつけるわけはなく、1年後もTOEICは100点しか上がらず

むしろ問題は日本の学習
日系塾は近所になく、オンラインで家庭教師をつけるが、英語の家庭教師と両立が難しく断念
休学中に同級生は高校の重要単元(数学II、物理基礎など)を終了

帰国後は授業に全くついていけない
「英語だけできても、大学入試は5教科7科目。どうしようもない」と担任に言われた

現在は通信制高校に転校
希望の大学は「考え直している」状態


【ケース3】アジアのインターに中学(セカンダリースクール)相当学年で入学したジュンさん

ジュンさんは小学生までは日本の私立校でトップクラスの成績でした。先取り数学もおこない順調。英語も低学年から続け英検2級は5年生になる前に合格。中学からアジアの進学実績が良いインターに編入。親は「将来は海外有名大学か国内一流大学」を夢見ていました。

現実:

中1で編入するも、英語の壁が高すぎてサイエンスの授業が理解できない

多くの子は英語がネイティブで、インター校ではアカデミック英語を鍛えているため、どんなに英語対策家庭教師をつけても、その差は埋まらない

結局、学校の成績は常に最下位層。クラスメイトからもばかにされ、自信をなくし、学校に行きたがらない

日系塾にも通ったが、塾の同学年の生徒はかなり学力高め、英語力もあり、ますます差を感じる

日本の高校受験を行うが、英検1級が最低条件の帰国生枠では太刀打ちできない
そのままインター校在籍
このままでは「海外有名大学も難しいし、国内大学の帰国生枠も厳しいかも」という状態に
なんとかIBDPコースには入ったが、成績は常にぎりぎり
IBDPに専念するために日本語の学習は断念

現在は日本の私立大学の国際学部に進学し、大学生活を楽しんでいる

 

 

【ケース4】親に無理やり連れて行かれ、海外インター校に入学したリョウさんの場合

リョウさんは中学1年生の夏休みが始まった直後、父親の「お前の将来のためにいいチャンスだ」という一方的な決断で、急遽フィリピンのインターナショナルスクールに編入させられました。「子供に英語を身につけさせるのは今しかない」という周囲の帰国子女を持つ親たちの意見に影響された結果でした。

当時の親の期待:「現地に飛び込めばどうにかなる。若いうちは順応性が高い。1年もすれば英語で話せるようになり、たくましくなるはず」

現実:リョウさんは渡航前から英語が得意ではなかった。インターの授業はほぼ理解できず、先生の指示すら聞き取れない

クラスメイトは中国人、韓国人、ベトナム人が多く、彼らはすでに英語でコミュニケーションが取れるレベルで、仲間に入るきっかけすらつかめない

唯一日本語が通じるのは、同じタイミングで来た別の日本人男子1人のみ
しかしその子とは気が合わず、ほとんど話さない

放課後、学校が用意するスポーツやアートのアクティビティには一切参加せず、まっすぐ寮の自室に戻る

寮の部屋でスマホを取り出し、日本時間の夜に合わせてオンラインゲーム
日本の友達と通話しながら、深夜までゲームに没頭

授業中も睡眠不足でボーッとしているか、タブレットでゲームの攻略サイトを読んでいる
親が毎週のビデオ通話で「どう?友達できた?英語話せるようになった?」と聞く度に「別に」「普通」とだけ答え、画面も見ようとしない

学校のカウンセラーからは「適応障害の初期症状」と指摘されるが、父親は「甘え」と一蹛
母親は心配しつつも父親に逆らえない

現在、リョウさんは17歳
渡航から3年半が経過したが、英語力はほぼ渡航前と変わらず、現地の友達はゼロ
日本の友達とのオンラインゲームだけが唯一の生きがい
父親はさすがに状況を認め始めたが、「今さら日本に戻っても高校編入が難しい」と、そのまま通わせ続けている
リョウさんは「大学はどうでもいい。ゲームの配信で食えればそれでいい」と言っている

 

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【ケース5】親に連れられて来豪、勉強はするが、結果が出ないサキさんの場合

サキさんは中学2年生の時、母親の「グローバルに」という強い希望で、オーストラリアのインターナショナルスクールに転校しました。父親は国内で単身赴任を続け、母親が帯同して現地でサポートする形です。サキさん自身は特に留学したがっていたわけではなく、「ママがそう言うなら」という消極的な承諾でした。

当時の親の期待:「ちゃんと塾にも通わせるし、家庭教師もつける。勉強をしっかりやれば、英語もできるし、帰国後は帰国生入試でトップ校に合格できる」

現実:サキさんは真面目な性格で、言われた通り学校には毎日行き、授業も受ける。宿題も提出する

ただし、授業の理解度は常に平均よりやや下
英語でサイエンスやマスの授業を受けるスピードにどうしてもついていけない

日本人向けの補習塾に週3回通い、さらにネイティブの家庭教師にも週2回みてもらっている費用は月に10万円超

しかし成績は「下」から上がらない
クラスには幼少期から通うバイリンガルの子たちが多く、彼らとの差はまったく埋まらない
母親は「努力が足りない」と叱るが、サキさんは毎日夜遅くまで勉強している

「意味があるのかな」とサキさんが漏らすと、母親は「そんなこと言ってたら何も身につかない!」とさらに叱咤

学校の成績表を見るたびに母親の機嫌が悪くなり、家の雰囲気は常に暗い
父親は遠くから「無理しなくていいよ」と電話で言うが、それを母親が「甘やかし」と否定する

 

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現地での友達はできるにはできたが、ディスカッションやプロジェクトではいつも自分が足を引っ張る感じがあり、次第にグループから外されるように
「サキはまじめだけど、役に立たない」という評価が暗黙のうちに共有されている

3年後、サキさんは16歳。英語力は日常会話ができるレベルで、「留学した割には」という評価
数学や理科は日本の中学3年生レベルにも達していない
母親は「もう少し頑張れば…」とまだ諦めていないが、サキさん自身は「私、何のためにここにいるんだろう、お金と時間の無駄じゃないの」と本音を漏らすように

高校卒業後については「とりあえず日本の大学に入れればいいけど、どの大学も無理そう」と絶望感をにじませている
唯一の楽しみは、週末に日本から送ってもらったマンガを読むことだ。


【なぜ思ったようにいかなかった? 3つの大きな理由】

これらの例に共通するのは、親の「外国にいけば、インター校に入学すれば英語はある程度自然に上達する」という過度な楽観です。

理由1:インターナショナルスクールでも、英語は「自然に」身につかない

 

続きは翌日以降に掲載します。